[前回のエグゼクティブサマリー]
調査対象期間:2026年9月20日〜10月3日の14日間。情報基準日:10月3日。
前号では、光電融合/CPOの競争が、単に高速な光部品を開発する段階から、
量産できるか、検査できるか、交換できるか、第二ソースを確保できるか
という、事業として成立させる段階へ移ったことを取り上げました。
今回の2週間では、その流れがさらに一段進みました。
最大の変化は、
CPOが「将来の光通信技術」から、顧客案件、量産、冷却、外部レーザー、チップ間光通信を伴う具体的なAIインフラ事業になり始めた
ことです。
特に9月20〜24日にスペイン・マラガで開催されたECOC 2026では、CPOの議論が「性能」だけではなく、
- manufacturability=量産しやすさ
- serviceability=交換・保守性
- reliability=信頼性
- thermal management=熱設計
- external laser=外部レーザー
- interoperability=相互運用性
へ移っていることが鮮明になりました。ECOC公式プログラムでも、CPOについて「deployment readiness、manufacturability、reliability、serviceability、ecosystem maturity」が主要な判断要素になっていると整理されています。
経営上の結論から言えば、
「CPOを作れる企業」から、「CPOを大量に作り、冷却し、検査し、故障時に直し、顧客システムへ組み込める企業」へ価値が移り始めています。
- エグゼクティブサマリー
- 1.CoherentがCPO/NPOで20件超の顧客案件。2026年Q4から売上立ち上がりへ
- 1.今回の重要ニュース一覧
- 2.〖今回最重要〗Coherent PhotonLink――CPOが「案件」と「売上」の段階へ
- 3.Coherentは6.4T NPOと3.2Tプラガブルも同時に展示
- 4.Marvell――2nm・400G/レーン。3.2Tを見据える
- 5.Lumentum×Qualcomm×Corning――光が「Die-to-Die」へ
- 6.Lumentum――8波長DWDMの外部レーザー。CPOの「交換できない問題」を解く
- 7.Ayar Labs×GUC――「空冷ではダメ、液冷なら動く」を数値で示す
- 8.ECOCで明確になったこと――「最高速度」より「量産できるか」
- 9.日本:NTT東西――APNが商用利用のユースケースへ
- 10.〖国内最重要〗NECなど5社――APNで地域分散データセンターをつなぐ
- 11.Ciena――Scale-Up、Scale-Out、Scale-Acrossを一本の光インフラとして見る
- 12.前号から何が変わったのか
- ① 光源メーカー
- ② ファイバー・コネクタ企業
- ③ 半導体材料・実装企業
- ④ 液冷関連企業
- ⑤ 検査装置企業
エグゼクティブサマリー
1.CoherentがCPO/NPOで20件超の顧客案件。2026年Q4から売上立ち上がりへ
今回、最も事業化が具体的だったニュースです。
Coherentは9月21日、CPO、NPO、チップ間光接続を一体化した新プラットフォーム「PhotonLink」を発表しました。
重要なのは技術だけではありません。
同社は、
CPOで10件超
NPOで10件超
チップ間光接続で5件超
の顧客案件を持ち、CPOとNPOではアンカー顧客と長期契約も確保していると明らかにしました。
さらにPhotonLink関連売上は2026年第4四半期から立ち上がる見込みとしています。
つまり、「CPO市場はいつ始まるのか」という議論から、
「どの顧客案件が、どの四半期から売上になるか」
という段階へ入っています。
2.Marvellは2nm・400G/レーンへ。3.2T時代を見据えた光通信に進んだ
MarvellはECOCで、
- 2nm 400G/レーン PAM4
- 2nm 800G ZR/ZR+
- 2nm 1.6T ZR
- 102.4Tbps CPOプラットフォーム
などを展示しました。
現在AIデータセンターで1.6T光通信の導入が始まっている一方で、業界はすでに3.2Tを見ています。
CPOも「100T級スイッチを光化する技術」に留まらず、
400G/レーンを前提に次の世代へ進む競争
が始まっています。
3.光が「スイッチ」から「AIチップ間」へ近づいている
Lumentum、Qualcomm、Corningは、VCSELを使ったDie-to-Die光通信をECOCで共同実演しました。
QualcommのD2Dインターフェース、LumentumのVCSEL光技術、Corningのマルチモードファイバーを組み合わせ、将来のCPO/NPOやUCIe系接続を想定しています。
これは重要です。
従来は、
ラック間を光にする
→ スイッチのI/Oを光にする
という議論でした。
今回見えてきたのは、
AIプロセッサ、チップレット、パッケージそのものの入出力まで光にする
方向です。
光電融合の市場は、光トランシーバー市場だけを見ていては捉えられなくなっています。
4.CPOの最大課題の一つ「熱」に、液冷が必要であることが具体化
Ayar Labsと台湾GUCは、AIチップとCPO光エンジンを一つの先端パッケージに入れた場合の熱解析結果を公開しました。
結果は非常に分かりやすいものでした。
通常の空冷ヒートシンクでは仕様を満たせず、液冷コールドプレートでは仕様を満たしたとしています。
想定パッケージは総TDP 3kW超で、光エンジンも100℃未満に保てたとしています。
つまり、
CPOと液冷は別々の市場ではない
ということです。
AIチップへ光を近づければ近づけるほど、熱設計も同時に解かなければなりません。
5.日本ではAPNが「通信技術」から分散AIデータセンター基盤へ
9月30日、NECなど5社は総務省の「ワット・ビット連携関連実証」に採択され、APNを使った地域分散型データセンターの実証を開始すると発表しました。
これは、電力がある地域へAI計算資源を分散し、都市部と高速・低遅延の光ネットワークで結ぶ構想です。
前号までのCPO/光電融合は、主に「AIサーバーの中」を光化する議論でした。
今回は日本で、
光電融合/APNがデータセンターの配置そのものを変える技術
として具体化しています。
1.今回の重要ニュース一覧
| 日付 | 企業・団体 | ニュース | 経営上の意味 |
|---|---|---|---|
| 9/20 | Coherent | 3.2T、6.4T NPOなどECOC展示 | 400G/レーン世代へ |
| 9/20〜21 | Marvell | 2nm 400G/レーン、102.4T CPO | 3.2T世代の光通信へ |
| 9/21 | Coherent | PhotonLink正式発表 | CPO/NPO顧客案件20件超、売上化へ |
| 9/21 | Lumentum・Qualcomm・Corning | 光D2D実演 | 光がAIチップ直近へ |
| 9/21 | Lumentum | 8波長DWDM ELSFP | 外部レーザーの交換性・標準化 |
| 9/22 | Ayar Labs・GUC | CPO熱解析 | 3kW級パッケージで液冷が必要 |
| 9/25 | NTT東西 | APNを使ったリアルタイム映像実証 | APN商用利用の具体化 |
| 9/30 | NECなど5社 | APN+地域分散DC実証 | 光×電力×AI DCへ |
| 10/1 | Ciena | AI向け光インターコネクト体系を提示 | Scale-up〜Scale-acrossを一体化 |
| 10/2 | Credo | AI光ネットワークの信頼性を問題提起 | 「速度」から稼働率へ |
2.〖今回最重要〗Coherent PhotonLink――CPOが「案件」と「売上」の段階へ
9月21日
元記事:Coherent
「Coherent Launches PhotonLink Integrated Optics Platform for AI Infrastructure」
PhotonLinkは、光通信に必要な要素を、
Generate → Shape → Guide → Receive
という一つの光信号チェーンとしてまとめたプラットフォームです。
具体的には、
- InPレーザー
- VCSEL
- シリコンフォトニクス
- アイソレータ
- 特殊ファイバー
- マイクロオプティクス
- 光検出器
- ファイバー接続
- 光モジュール
などを組み合わせます。
最大のポイントは、製品スペックではありません。
Coherentは、
CPO:10件超
NPO:10件超
Chip-to-Chip:5件超
の顧客エンゲージメントがあると公表しました。
CPOとNPOについては、アンカー顧客と長期契約も確保しています。
さらに、
PhotonLinkの売上は2026年第4四半期から拡大開始予定
としています。
これまでCPO市場では、
「2027年から普及する」
「2028年から本格化する」
といったロードマップが多く語られてきました。
今回、Coherentは具体的な顧客案件数と売上開始時期まで示しました。
CPO市場を見る際の評価軸を、
技術発表 → 顧客評価 → 長期契約 → 売上
へ切り替える必要があります。
3.Coherentは6.4T NPOと3.2Tプラガブルも同時に展示
9月20日
元記事:Coherent
「Coherent Showcases Optical Innovations to Scale AI Infrastructure at ECOC 2026」
CoherentはECOCで、
3.2T 2xDR4トランシーバー
6.4T NPO光エンジン
VCSEL型Scale-Up光接続
などを展示しました。
興味深いのは、一つの方式に賭けていないことです。
プラガブル、NPO、CPO、VCSEL型光接続を並行して開発しています。
これは現在の市場をよく表しています。
CPOが普及するからプラガブルがすぐ消えるわけでも、NPOがCPOまでの単なる中継技術になるとも限りません。
用途ごとに、
Pluggable
LPO
NPO
CPO
Chip-to-Chip
が使い分けられる可能性があります。
日本企業も、「最終的にどの方式が勝つか」を予想するだけでなく、
複数の光接続方式で共通して必要になる材料・部品・検査技術
を狙う方がリスクを抑えられます。
4.Marvell――2nm・400G/レーン。3.2Tを見据える
9月20日発表
元記事:Marvell
「Marvell to Showcase Industry-First 2nm Optical Technology Demos for AI Data Center Infrastructure at ECOC 2026」
MarvellはECOCで、初の2nm世代となる、
- 400G/レーン PAM4
- 800G ZR/ZR+
- 1.6T ZR
- 1.6T Coherent-Lite
などを実演しました。
さらに同社の102.4Tbps CPOプラットフォームも展示しています。
現在の1.6T光トランシーバーは200G/レーンが中心です。
次の3.2T世代では、400G/レーンが重要になります。
つまり、
AIデータセンターが1.6Tへ移行している最中に、半導体・光通信企業はすでに3.2Tを開発している
ということです。
これは設備・材料メーカーにとって重要です。
製品が量産化される時点で営業を開始しても遅い場合があります。
400G/レーンに必要になる、
- 高速変調器
- レーザー
- フォトディテクター
- SiGe
- 光ファイバー
- コネクタ
- 高周波基板
- 検査装置
- パッケージ材料
については、2027〜2028年の量産から逆算して、今から顧客評価へ入る必要があります。
5.Lumentum×Qualcomm×Corning――光が「Die-to-Die」へ
9月21日
元記事:Lumentum
「Lumentum, Qualcomm, and Corning to Demonstrate High-Density 1060 nm VCSEL Optical D2D Connectivity for AI Scale-Up at ECOC 2026」
3社は、将来のAI Scale-Upネットワーク向けに、VCSELによるDie-to-Die光接続を共同実演しました。
構成は、
Qualcomm:D2DインターフェースIP
Lumentum:1060nm VCSEL光接続
Corning:マルチモードファイバー
です。
従来の光通信は、
サーバー間
ラック間
スイッチ間
で使われてきました。
CPOによって光エンジンはスイッチASICの横まで近づきました。
今回のD2D構想では、さらに、
AIチップレット同士の接続
まで光を入れることを想定しています。
CPOの市場をスイッチだけで見てはいけない理由がここにあります。
将来的には、
GPU/XPUパッケージ自体が光I/Oを持つ
可能性があります。
6.Lumentum――8波長DWDMの外部レーザー。CPOの「交換できない問題」を解く
同じ9月21日、LumentumはCPO/NPO向けの外部レーザーモジュールも発表しました。
元記事:Lumentum
「Lumentum to Demonstrate DWDM ELSFP Laser Module for OCI MSA Applications at ECOC 2026」
8波長DWDMレーザーを、着脱可能なELSFPにまとめています。
OCI MSAとの互換性を意識した設計です。
これはCPOの大きな問題に対する答えです。
レーザーまで巨大なスイッチASICと一体化すると、レーザー故障時の保守が難しくなります。
そこで、
光エンジンはASICの近くに置くが、レーザーは交換可能な場所へ外出しする
という設計が有力になっています。
性能だけでなく、
壊れた時に何分で交換できるか
が重要になってきました。
7.Ayar Labs×GUC――「空冷ではダメ、液冷なら動く」を数値で示す
9月22日
元記事:Ayar Labs
「Ayar Labs and GUC Complete Successful Thermal Co-Simulation Testing of Co-Packaged Optics」
Ayar LabsとGUCは、TeraPHY光エンジンをAI XPUの先端マルチチップパッケージへ組み込んだ際の熱解析を実施しました。
想定したパッケージは3kW超のTDPです。
解析では、
通常の空冷フィン型ヒートシンク:仕様を満たさない
液冷コールドプレート:仕様を満たす
という結果になりました。
冷却側では、
- ASIC側熱抵抗:0.008K/W以下
- 光エンジン側:0.15K/W以下
- 冷却流量:4.5L/min
などを条件としています。
Ayar Labsによる解析では、液冷を使うことで光エンジンを100℃未満に維持できました。
もちろん、これは共同設計によるシミュレーション結果であり、大量配備された商用機の実測結果ではありません。
しかし経営上の意味は大きい。
CPO、HBM、AIチップ、液冷、先端パッケージは別々の技術テーマではありません。
3kW級の巨大パッケージにAIチップと光エンジンを載せる場合、最初から冷却まで共同設計する必要があります。
日本企業にとっては、液冷用コールドプレート、TIM、ポンプ、材料、熱解析にもCPO市場から需要が生まれます。
8.ECOCで明確になったこと――「最高速度」より「量産できるか」
ECOC公式プログラムには非常に重要な表現があります。
CPOについて、
deployment readiness
manufacturability
reliability
serviceability
ecosystem maturity
が主要な判断要素になってきたと整理されています。
これは前号からの流れと完全につながります。
光電融合技術のニュースでは、
「世界初」
「最大○Tbps」
「消費電力○%削減」
という数字が目立ちます。
しかしハイパースケーラーが100万個単位で導入する時に問うのは、
何個作れるのか
歩留まりは何%か
検査は何秒か
故障率はいくつか
何分で交換できるか
第二ソースがあるか
です。
市場の評価軸そのものが変わっています。
9.日本:NTT東西――APNが商用利用のユースケースへ
9月25日
元記事:NTT西日本・NTT東日本
「All-Photonics Connect powered by IOWNとボリュメトリックビデオ技術による世界初のスポーツ観戦体験の実証に成功」
NTT東西は、IOWN APNとキヤノンのボリュメトリックビデオを組み合わせ、遠隔地にスポーツ競技空間をリアルタイムに再現する実証に成功しました。
CPOから見ると少し離れたニュースに見えます。
しかし光電融合全体では重要です。
光通信インフラへの設備投資は、
「光なら速いから」
だけでは成立しません。
実際に顧客が料金を払う用途が必要です。
高精細映像、遠隔制作、デジタルツイン、医療、AIデータセンター間接続など、APNを必要とする実アプリケーションが増えることで初めて設備投資が回収できます。
10.〖国内最重要〗NECなど5社――APNで地域分散データセンターをつなぐ
9月30日
元記事:NEC
「NECなど5社、総務省の令和8年度『ワット・ビット連携関連実証』に採択」
NEC、ケーブルテレビ、鹿沼ケーブルテレビ、宇都宮ケーブルテレビ、エイジェックスポーツマネジメントの5社は、
APNを活用した地域分散型データセンター
の実証を始めます。
このニュースは、CPO単体よりも「光電融合」全体で非常に重要です。
AIデータセンターの最大の制約は電力です。
東京や大阪で電力が足りなければ、
電力のある地域へGPUを置き、光ネットワークで利用者と結ぶ
という方式が考えられます。
これは以前なら、通信遅延や帯域が問題になりました。
APNによってこの制約を小さくできれば、
電力配置とコンピューティング配置を別々に考えられる
ようになります。
つまり光電融合は、サーバーの消費電力を下げるだけでなく、
AIデータセンターをどこに建てるか
という経営判断まで変える可能性があります。
11.Ciena――Scale-Up、Scale-Out、Scale-Acrossを一本の光インフラとして見る
10月1日
CienaはOCP Global Summit向けに、AIインフラのScale-Up、Scale-Out、Scale-Acrossをカバーする光・電気接続技術を発表しました。
同社は、
- Nitro electrical interconnect
- Vesta optical interconnect
- WaveLogic coherent optics
- RLS Hyper-Rail
などを一つのAI接続体系として提示しています。
ここから見えるのは、
CPO市場=ラック内光通信市場
ではないということです。
AI Factoryでは、
チップ間
ラック内
ラック間
データセンター内
キャンパス間
地域間
で、それぞれ異なる光技術が必要です。
光電融合市場を評価する際には、「CPO関連売上」という一つの数字だけではなく、どの距離の光接続で利益を取る会社なのかを見る必要があります。
12.前号から何が変わったのか
| 前号まで | 今回 | 変化 |
|---|---|---|
| CPO量産設備への投資 | Coherentが顧客案件数・売上開始時期を明示 | 技術から受注・売上へ |
| 検査・接続の標準化 | 外部レーザー、D2D光接続へ | 光I/Oの範囲がチップ直近へ |
| 6.4T級CPO/NPO | 400G/レーン・3.2T世代を開発 | 次世代競争が開始 |
| 保守性が課題 | ELSFPでレーザーを外出し | 交換性を設計に組み込む |
| 熱問題は概念的 | 3kW超パッケージで液冷解析 | CPOと液冷が一体設計へ |
| APNを標準化 | 地域分散AI DC実証 | 光がDC立地を変える |
今回の変化を一言でまとめれば、
「CPOを作れるか」から、「CPOを大量に配備してAI Factoryを運用できるか」へ
です。
13.日本企業にとっての商機
① 光源メーカー
CPOの光源は、内蔵か外部かという方式競争だけではありません。
必要なのは、
- 高出力
- 長寿命
- 波長安定性
- 低消費電力
- 高密度実装
- 交換性
です。
LumentumのELSFPが示したように、外部レーザーにも大きな市場が残ります。
② ファイバー・コネクタ企業
CPOでは、スイッチ1台から出るファイバー数が急増します。
チップに近いところで、
数百〜数千本のファイバーを正確につなぎ、故障時に交換できること
が必要です。
古河電工、住友電工を含む日本の光ファイバー・接続企業には大きな市場があります。
③ 半導体材料・実装企業
CPOは、
電子チップ+光チップ+HBM+基板+光接続
を一つのパッケージに集積します。
したがって、
- 基板
- 接着
- TIM
- 微細接合
- ガラス
- SiC
- 光学材料
- 精密位置合わせ
が重要になります。
④ 液冷関連企業
Ayar LabsとGUCの解析が示したように、CPOをAI XPUへ近づけるほど液冷が重要になります。
液冷市場とCPO市場を別々に調査する必要はありません。
同じAIパッケージの熱をどう逃がすか
という一つの問題になります。
⑤ 検査装置企業
CPOでは電気試験だけでは足りません。
光出力、波長、BER、熱、接続状態まで検査する必要があります。
しかも大量生産では、
一個測れることではなく、毎日何千個測れるか
が重要です。
日本の検査・計測・自動化企業にとって、引き続き有望な市場です。
14.経営会議で確認したい四つのこと
第一に、顧客案件数を聞く
「CPO技術があります」では不足します。
確認するのは、
- 評価中顧客数
- Design Win数
- 長期契約数
- 量産開始時期
- 売上開始時期
です。
Coherentが具体的な顧客案件数を公開し始めたことは、この観点で重要です。
第二に、熱設計を光技術部門だけに任せない
CPOでは、熱・電源・パッケージ・光が一つになります。
光デバイス担当だけでなく、
サーバー、液冷、パッケージ、電源の設計者を初期段階から入れる
必要があります。
第三に、「3.2Tはまだ先」と考えない
1.6Tの量産が始まった時点で、次世代の400G/レーン設計が始まっています。
材料・装置メーカーが顧客認定へ入るには数年かかります。
2028年の量産に入りたいなら、2026年の段階で顧客と共同開発を始める必要があります。
第四に、CPOだけに賭けない
今後数年間は、
Pluggable
LPO
NPO
CPO
Optical D2D
が並存する可能性があります。
自社技術がどの方式でも必要になる位置にあるほど、方式競争のリスクを小さくできます。
15.次の2週間で確認すべきこと
次号で最も重要なのは、10月12〜15日に開催されるOCP Global Summit 2026です。
Broadcom、NVIDIA、Lumentum、Ciena、MarvellなどがAIネットワークの次世代設計を相次いで示す予定です。
特に確認すべきなのは、
① Broadcom TH6-Davisson CPOの採用状況
② NVIDIA Spectrum-X Photonicsの実出荷・顧客展開
③ 400G/レーン/3.2Tのロードマップ
④ 外部レーザーの標準化
⑤ CPOの冷却・保守方式
⑥ Optical Scale-Upの共通規格
です。
光電融合市場は今、
「CPOを採用するか、しないか」
を議論する段階を越えています。
どの接続距離で、どの光方式を、どの世代から使うか
を設計する段階へ移っています。
まとめ――CPOは「光通信部品」からAIシステム設計の中心へ
前号では、
光部品を作ることから、量産・検査・交換・第二ソースを成立させることへ
競争が移ったと整理しました。
今回、それがさらに具体化しました。
CoherentはCPO・NPOで20件超の顧客案件を抱え、2026年Q4から売上が立ち上がるとしました。
Marvellは400G/レーンの2nm光技術と102.4Tbps CPOを示しました。
Lumentum、Qualcomm、CorningはDie-to-Die光接続を実演しました。
Lumentumは交換可能な外部レーザーを示しました。
Ayar LabsとGUCは、3kW超のAIパッケージではCPOと液冷を同時に設計する必要があることを数値で示しました。
日本ではNECなどが、APNを使って電力のある地域へAIコンピューティングを分散する実証に入ります。
これらを一本につなぐと、
光電融合は「ネットワークを速くする技術」ではなくなっています。
GPUをどのようにつなぐか。
AIチップをどのように冷却するか。
データセンターをどこに置くか。
障害時にどこまで交換するか。
どのメーカーから第二ソースを確保するか。
AI Factory全体の設計を決める技術になっています。
東証プライム企業が経営会議で問うべきなのは、
「CPO市場は伸びるか」ではなく、光化によって変わるAIインフラのどの工程で、自社が不可欠な存在になれるか。
という問いです。
光源、材料、接続、実装、検査、液冷、電源、光ネットワーク。
CPOそのものを作らなくても、日本企業が取れる市場は非常に広い。
今回の2週間は、その産業構造がかなり鮮明になった期間だったと言えます。



