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9月2日まで2週間の海外/日本の「液冷」重要ニュース:東証プライム経営者用エグゼクティブサマリー

隣接分野の同企画

Executive Summary

調査期間は2026年8月20日~9月2日(日本時間)です。データセンター液冷、サーバー/GPU・AIアクセラレータ冷却、Direct-to-Chip(DTC)、CDU、液浸冷却、関連部材、CPO周辺の熱設計までを対象に、企業一次情報、政府・規格機関、Reutersなど主要メディア、業界専門媒体を確認しました。

  • 最重要ニュースは、SLBによる熱交換器大手Kelvionの約41億ドル買収です。 Kelvionの2026年データセンター売上高だけで12~13億ドルが見込まれており、液冷・熱マネジメントが「部品市場」から、エネルギー・インフラ大手が数十億ドルで取りに行く戦略市場へ格上げされたことを示します。SLBは統合後のデータセンター事業を2028年に45~50億ドル規模へ成長させる計画です。[1]
  • シンガポールが熱帯地域向け液冷の世界初の国家標準「SS 726:2026」を発表しました。 DTC液冷の設計、CDU、冷却液、漏液、腐食、保守、リスク管理などを規格化し、40℃超の冷却液温度も想定します。アジア市場で液冷を売る日本メーカーにとって、実質的なベンチマーク候補になる可能性があります。[2]
  • Metaは最新AIデータセンターの大半で閉ループ液冷を採用していると明らかにしました。 液冷は単なる高発熱GPU対策ではなく、水制約、既存設備改修、ラック密度を同時に解く設備アーキテクチャになっています。冷却液を最長約10年間利用する設計も示しています。[3]
  • ラック密度は「200kW級」から「MW級」を見据える段階に入っています。 Schneider Electricは最新AIラックを227kW級とし、2~3年以内に1MW超/ラックもあり得るとしています。45℃程度の温水で冷却できればチラーを省ける可能性もあり、データセンターの設備設計や立地判断そのものが変わります。[4]
  • 経営上のキーワードは「液冷か空冷か」ではなく、「DTC+CDU+施設側熱放散+水+電力+保守」を一体設計できるかです。 一方、NextDCではWUE、PUEが3年連続で悪化しており、設備導入だけでは効率化は保証されません。漏水・計測・コミッショニングを含む運用品質までKPIにする必要があります。[5]

調査範囲と市場の現在地

AIサーバーの液冷では、現在の中心技術は、CPUやGPUの表面にコールドプレートを取り付けて冷却液で直接熱を取るDirect-to-Chip(DTCです。Data Center Knowledgeが8月25日に整理した最新の技術比較では、DTCはラック発熱量の約70~90%を熱源で取り除くことが可能とされ、既存データセンターへの導入容易性と高密度対応のバランスから有力な方式となっています。Rear Door Heat Exchanger(RDHx)は既存設備の改修に向く一方、極端な高密度ではDTCより能力に限界があります。液浸冷却は極めて高い密度まで対応でき、サーバーファンも不要にできますが、専用ハードウェア、保守手順、初期投資というハードルがあります。[6]

Schneider Electricも、20kW/ラック程度以下では空冷が依然合理的である一方、高密度AIでは液冷が必要になるとの整理を示しています。同社によればDTCでラック発熱の80%以上を回収し、残りをRDHxなどで処理するハイブリッド構成も現実的です。つまり今後のデータセンターでは「全面液冷」だけでなく、液冷と空冷の混在を前提に設計する能力が重要になります。[7]

この構造から分かるのは、成長市場がコールドプレートだけではないことです。CDU、ポンプ、Quick Disconnect(QD)、マニホールド、バルブ、熱交換器、冷却液、配管、センサー、漏液検知、ドライクーラー、制御ソフトまで価値が広がります。 シンガポールの新規格やSchneiderのリファレンス設計も、液冷をサーバー内部だけの問題ではなく施設全体のシステムとして扱っています。[8]

過去2週間の重要ニュース

SLBがKelvionを約41億ドルで買収へ――液冷・熱交換が大型M&A市場に

8月31日、石油サービス大手SLBはドイツ系熱交換・熱管理大手Kelvionを買収する契約を締結しました。買収対価は現金34億ドルで、約7億ドルの債務を引き受けるため、取引価値は約41億ドルです。Kelvionは2026年売上高23~24億ドル、調整後EBITDA3.5~4億ドルを見込み、そのうちデータセンターだけで12~13億ドルと最大・最速成長市場になっています。[1]

SLB自身のData Center Solutions事業も2024~2026年に売上高年平均90%以上の成長を見込み、2026年末までの累積供給能力は2GW超となる計画です。Kelvion統合後は2028年にデータセンター関連売上高45~50億ドル、調整後EBITDA7~8億ドルを目指し、3年以内に年間約1.2億ドルのEBITDAシナジーも見込んでいます。SLBはモジュール型インフラにより現場建設の複雑性を減らし、稼働までの時間を最大40%短縮できる可能性も示しています。[9]

経営への影響: これは「冷却機器メーカーの買収」というより、AIデータセンターのボトルネックを握る企業を、エネルギーインフラ大手が垂直統合する動きと見るべきです。電源、熱、配管、施工、制御を一体で提供する企業の競争力が高まれば、CDUや熱交換器を単品で販売するだけでは価格決定力を失うリスクがあります。日本の重電、空調、ポンプ、モーター、熱交換器、素材企業にとって、M&A・提携の検討対象として液冷サプライチェーンの優先順位を上げるべきシグナルです。[1]

出典: SLB公式発表Reuters

シンガポールが世界初の熱帯地域向け液冷国家標準「SS 726:2026」を導入

シンガポールのIMDAとEnterprise Singaporeは8月27日、Singapore Standard SS 726:2026 “Liquid Cooling in Tropical Data Centres”を発表しました。政府側は、熱帯気候向け液冷に特化した国家標準として世界初と位置付けています。計画、設計、導入、試運転、運用、保守、リスク管理までを対象とし、冷却液、材料、CDU、漏液対策、水使用量なども扱います。[2]

重要なのは、単なる性能規格ではなく高温多湿下での腐食、漏液、材料適合性まで標準化している点です。SS 726は40℃を超える冷却液温度で稼働する液冷システムを熱帯地域に適した選択肢と位置付けています。冷却水温を高くできれば、外気への放熱が容易になり、エネルギー消費の大きいチラーへの依存を減らせます。IMDAとEnterpriseSGは、液冷によって従来型空冷に比べデータセンター全体のエネルギー使用量を30%以上削減できる可能性があるとしています。[10]

なおSS 726の対象は主としてCPU、GPU、TPUなどに直接冷却液を送る方式で、RDHxなど間接方式や二相式・一部ハイブリッド方式は対象外です。したがって、「SS 726準拠=すべての液冷方式をカバー」というわけではありません。[10]

同時期にシンガポールは新規データセンター容量200MWを4事業者に暫定配分しており、対象施設にはフルIT負荷時PUE 1.25以下などの条件を課しています。液冷標準化と新規容量割当をセットで進めている点が重要です。[10]

経営への影響: 日本企業にとってSS 726は、シンガポールだけのローカル規格と見るべきではありません。高温多湿な東南アジアでAIデータセンター投資が増えるなか、機器メーカー、建設会社、データセンター事業者が仕様書を策定する際の参照規格に広がる可能性があります。CDU、ポンプ、QD、シール材、配管、冷却液、腐食対策、漏液センサーを扱う企業は、SS 726との適合性を営業上の武器にできるかを早期に確認すべきです。 これは公開資料を踏まえた経営上の推論です。[2]

出典: IMDA公式発表Tech Wire Asia

Meta、新設AIデータセンターの大半を閉ループ液冷へ

Metaは8月27日、最新のAI向けデータセンターの大半が閉ループ液冷を採用していると説明しました。水とグリコールの混合液を密閉された配管内で循環させる方式で、冷却液は交換まで最大約10年間利用できるとしています。[3]

閉ループ方式の意味は、水使用量を単純に増やさずに液冷化できることです。Metaはドライクーラーを組み合わせることで、施設外へ大量に水を蒸発させる方式への依存を抑えています。また、施設側に液冷用配管がない既存データセンターについては、ラック内部の液冷ループと空気側の熱交換を組み合わせる「Air-Assisted Liquid Cooling」ラックを導入しています。つまり、液冷は新設データセンターだけでなく既存データセンター改修市場にも入り始めています。[3]

Metaによれば、DTC液冷によりGPU搭載密度を高めることができ、空冷だけで同じ熱負荷を処理しようとすればサーバートレーをほぼ倍の大きさにする必要があるケースもあります。また液冷ネットワークラック「IcePack」をOpen Compute Projectで共有しており、液冷インフラのオープン化も進めています。[3]

経営への影響: 「液冷=大量の水を使う」という理解は修正が必要です。今後、自治体や地域住民から水利用への説明責任を求められる局面では、閉ループ+ドライクーラー+WUE開示が許認可や社会的受容性を左右す可能性があります。同時に、既存設備向けラック単位の液冷改修は、日本の都市型データセンターにも適用しやすい市場になります。これはMetaの実装事例から導ける経営上の示唆です。[3]

出典: Meta公式

Schneider Electric、227kWラックから1MWラックを見据えた冷却設計を提示

Schneider Electricは8月26日、従来型クラウドデータセンターのラック密度が概ね5~20kWであったのに対し、最新AI Factoryでは227kW級/ラックに達し、今後2~3年で1MW超/ラックまで高まる可能性を示しました。同社は、この領域では液冷は「選択肢」ではなく必須になるとの見方を示しています。[4]

特に経営的に重要なのが冷却水温の上昇です。SchneiderはNVIDIA Rubin世代について45℃程度の水で冷却可能と説明しており、実際の運用条件が許せばチラーを省略できる可能性があります。また液冷システムから55℃を超える水を取り出せれば、地域暖房、温室、工業プロセスなどへの廃熱利用が容易になります。[11]

一方、高密度AI環境では冷却系停止から過熱までの余裕時間が従来より短くなります。このためSchneiderはCDU、ポンプ、UPS、蓄熱などを組み合わせた冷却系レジリエンスを重視しています。冷却は「省エネ設備」であると同時に、AIクラスタ全体の稼働率を決めるミッションクリティカル設備になっています。[11]

経営への影響: 新しいAIデータセンターを従来の「サーバーを選んだ後に空調を付ける」順番で設計すると、設備が短期間で陳腐化するリスクがあります。2027~2030年のGPUロードマップを前提に、電源・ラック・CDU・施設水温・熱放散・バックアップを最初から一体設計することが必要です。[4]

出典: Schneider Electric公式Schneider Electric技術解説

Prime Data Centers、「閉ループでWUEほぼゼロ」と報告

Prime Data Centersは8月24日に2026 Sustainability Reportを公表し、同社の閉ループ冷却により、全社のWater Usage Effectiveness(WUE)が「near-zeroになったと発表しました。また2025年のデータセンター取水量の120%に相当するwater creditsを購入したとしています。数値はいずれも同社報告に基づくものです。[12]

このニュースは、Metaの動きと合わせると重要です。AIデータセンターに対して、水消費を理由に地域社会や行政から反発が生じる中、データセンター事業者は「PUEが低い」だけでは足りず、WUE、水源、閉ループ方式、補給水、地域水資源への影響まで説明する方向に進んでいます。Prime自身もAI、クラウド、HPC拡大を背景に、水管理と気候リスク開示を拡充しています。[12]

経営への影響: 日本でAIデータセンターを建設する場合も、液冷方式の選定をTCOだけで判断せず、「自治体にどのような水使用量を説明できるか」を評価項目に含めるべきです。水制約の厳しい立地では、閉ループ方式が土地取得・許認可リスクを下げるオプションになり得ます。これはPrimeとMetaの事例からの推論です。[13]

出典: Prime Data Centers / Business Wire

NextDCではWUEとPUEが3年連続悪化――「液冷を入れれば省資源化」ではない

オーストラリアのデータセンター大手NextDCが8月28日に公表した数値では、WUEが前年の2.25 L/kWhから2.40 L/kWhへ、PUEが1.44から1.49へ悪化し、いずれも3年連続の悪化となりました。一方、売上高は16%増加し、純利益は8,210万豪ドルに転じています。[5]

同社は水・エネルギー効率悪化について、新容量のコミッショニング時の冷却負荷、施設稼働拡大のほか、漏水やユーティリティ計量の問題がデータ照合によって明らかになったことなどを挙げています。[5]

これは液冷経営で非常に重要な教訓です。設備方式だけではWUE、PUEは決まりません。漏液・漏水、センサー精度、流量管理、水質、CDU制御、試運転、部分負荷時の運用が実効性能を左右します。Primeの「WUE near-zero」とNextDCの悪化を対比すると、経営者が契約すべきなのは「設備のカタログ効率」ではなく、「実運用時に達成するKPI」であることが分かります。後半は両社データに基づく分析です。[14]

出典: Reuters

Direct-to-Chip、RDHx、液浸のすみ分けが明確に

Data Center Knowledgeは8月25日、最新の液冷方式を比較し、DTC、RDHx、液浸冷却の用途の違いを整理しました。DTCはラック熱の約70~90%を熱源で直接取り除ける一方、RDHxはサーバー内部に冷却液を入れず既存ラックを改修しやすいこと、液浸冷却は極めて高密度なシステムに適する一方で専用ハードウェアや保守プロセス、初期投資が課題になるとしています。[6]

経営への影響: 今後数年、液浸冷却がDTCを全面的に置き換えると想定するのは早計です。一般的なAIクラスタではDTC+CDUが中心となり、既存設備にはRDHxやハイブリッド構成、極端な高密度・特殊用途では液浸という複線型市場になる可能性が高いと考えられます。これは同媒体の比較およびMeta、Schneiderの実装状況からの推論です。[15]

出典: Data Center Knowledge

台湾でラック・液冷を軸にサプライチェーン再編

8月27日、DIGITIMESは台湾Ablecom TechnologyがJochu Technologyの私募に参加し最大株主となり、AIサーバーラックおよび液冷事業向けの追加生産能力を確保する動きを報じました。台湾ではODM、ラック、冷却部品が一体化していく動きが続いており、液冷能力がサーバーサプライチェーン再編の要素になっています。[16]

経営への影響: SLB/Kelvionの大型M&Aとは規模が異なりますが、川上の熱交換器から台湾のラック・冷却製造まで、「液冷能力を社内・グループ内に持つ」方向への垂直統合が同時進行していることに注目すべきです。日本企業にとっては、台湾ODMに完成品を任せるだけではなく、コールドプレート、QD、ポンプ、CDU、材料などでどのレイヤーを自社の競争領域にするかを決める必要があります。後半はSLBと台湾の動きを踏まえた分析です。[17]

出典: DIGITIMES Asia

国内では、この14日間は大型一次発表より「海外の標準化・再編への対応」が論点

今回優先的に確認した日本企業・主要国内ソースの範囲では、8月20日~9月2日に、SLB級の大型M&Aやシンガポールの新規格に匹敵する液冷の大型新規発表は目立ちませんでした。ただしこれは、日本企業が液冷で出遅れていることを意味しません。

期間外の直近動向を見ると、パナソニックは2026年3月に欧州で400kW/800kW CDUと800kW/1,200kWフリークーリングチラーの受注を開始し、ニデックも6月にOCP準拠CDUを最大5段積層できる「STC 1.0」プロトタイプを公表しています。つまり日本企業にとって現在の論点は「液冷市場に参入するか」よりも、海外規格への適合、量産規模、グローバル顧客へのSpec-in、システム化をどこまで早く進めるかへ移っています。最後の評価は今回の海外動向との比較に基づく分析です。[18]

参考出典: パナソニックニデック

主要数値と技術比較

経営者が覚えておくべき数値

発表重要数値経営上の意味
SLB → Kelvion買収約41億ドル液冷・熱交換が大型M&A対象になったことを象徴します。[1]
Kelvionの2026年DC売上見通し12~13億ドルデータセンターが同社最大・最速成長の市場です。[9]
SLB統合後2028年DC売上目標45~50億ドル冷却単品ではなくAIインフラ・プラットフォーム化を狙っています。[9]
シンガポールSS 726液冷でエネルギー30%以上削減可能規制・標準化と省電力が結び付き始めました。これは政府側の説明値です。[10]
シンガポール新規DC割当200MW、PUE 1.25以下新規容量と効率基準をセットで管理しています。[10]
Schneider最新AIラック例227kW/rack既存空調前提の設計では対応が困難な領域です。[4]
Schneider中期予測2~3年で1MW超/rack建屋・電源・配管を数年先の密度で設計する必要があります。[11]
Rubin想定冷却水約45チラーレス/フリークーリングの可能性を高めます。[11]
DTC熱回収割合約70~90%AIサーバー向け主流方式になりやすい理由です。[6]
Meta閉ループ冷却液最長約10年利用冷却液交換・水補給のOPEXを抑える方向です。[3]
Prime Data CentersWUE near-zero閉ループ方式を水制約対策として訴求しています。[12]
NextDCWUE 2.25→2.40 L/kWh運用・漏水・コミッショニングまで管理しなければ効率は悪化します。[5]
NextDCPUE 1.44→1.49水と電力を同時にKPI化する必要があります。[5]

技術方式をどう見分けるべきか

方式強み主な課題経営的な位置付け
Direct-to-ChipCPU/GPUから直接熱を取り、約70~90%のラック熱を処理可能CDU、配管、QD、漏液管理が必要AIデータセンターの本命。新設・高密度ラック中心。[19]
RDHx既存ラック改修が容易、サーバー内部に液体を入れない超高密度では能力に限界レトロフィット市場で重要[6]
液浸冷却非常に高い熱密度、サーバーファン不要専用ハード、保守変更、初期CAPEXHPC、特殊AI、高密度用途を中心に選択的に拡大する可能性。[6]
閉ループ+ドライクーラー水消費を大幅に抑制可能高外気温時の熱設計、ポンプ電力等水制約・許認可対策として重要度上昇[20]
温水液冷チラー削減、廃熱利用がしやすいIT機器側の許容温度・地域条件が制約将来のAI FactoryでCAPEX/OPEX構造を変える可能性[21]

CPOについては、今回の14日間で「液冷×CPO」に直接関係する経営インパクトの大きな新規発表は抽出できませんでした。ただしCPOではスイッチASICと光エンジンを近接実装するため熱設計が重要になり、BroadcomもCPOについて液冷、最適化されたエアフロー、高性能ヒートシンクを安定動作上の重要技術として挙げています。したがって、CPOを扱う光部品・光電融合関連企業も液冷ロードマップを別問題として扱わない方がよいでしょう。[22]

日本企業への影響

第一に、「液冷部品」ではなく「熱マネジメント・プラットフォーム」で事業領域を定義する必要があります。 SLBがKelvionを41億ドルで取り込むのは、熱交換器単体より、電力・熱・施工・モジュール化を一体提供した方が顧客当たり売上と参入障壁を高められるからだと考えられます。日本にはポンプ、モーター、空調、熱交換、精密加工、バルブ、シール、素材、センサーといった強い産業基盤がありますが、それぞれが単品競争を続けると、システムインテグレーター側に利益が集中する可能性があります。これはSLBの戦略と日本企業の既存製品群からの推論です。[23]

第二に、東南アジアでは「SS 726対応」が営業条件になる可能性を想定すべきです。 特に日本のCDU、ポンプ、冷却液、シール、配管、QDメーカーにとって、高温多湿、腐食、材料適合性、漏液検知、水質管理を含めた設計実績が競争力になります。シンガポールはAIデータセンター容量を実際に追加しながら標準を整備しているため、単なる研究規格より市場との結び付きが強い点が重要です。[10]

第三に、水は電力と並ぶデータセンター立地リスクになります。 MetaとPrimeの閉ループ化は、水をほぼ消費しない方向へ設計できることを示す一方、NextDCのデータは、運用次第ではWUEが悪化することを示しています。取締役会や投資委員会でデータセンター案件を評価する際、PUEだけを見るのではなく、WUE、年間補給水量、水源、非常時給水、漏水率、冷却方式、設計外気温をセットにすべきです。[24]

第四に、2027~2030年を見据えた“過剰気味”の配管・熱設計が、結果的に安くなる可能性があります。 Schneiderが示す227kWから1MW超への方向が現実化すれば、今日100kW級までしか対応できない設備を新設して数年後に改修する方が高コストになる可能性があります。ただし1MW/ラックはSchneiderの将来予測であり、全データセンターがその密度に到達するという意味ではありません。用途別の需要予測とセットで判断する必要があります。[11]

第五に、液冷は日本企業にとって製造業の既存技術をAI市場へ横展開できる数少ない領域です。 パナソニックがCDU・チラー、ニデックがOCP準拠CDUへ展開しているように、必ずしもGPUや先端半導体そのものを製造しなくても、AIインフラのボトルネック領域に参入できます。今後は「国内データセンターへの納入実績」だけでなく、台湾ODMや米国ハイパースケーラー、欧州・東南アジアDC事業者へのSpec-inが企業価値を左右すると考えられます。後半は市場構造を踏まえた推論です。[25]

今後の注目点と実務的提言

今後3~12カ月で特に監視すべきなのは、まずNVIDIA Rubin世代以降で実際のラック電力・冷却水温がどこまで上がるかです。45℃級の温水運転が広く可能になれば、従来の大型チラー中心の設備構成が変わり、ドライクーラー、熱交換器、CDU、ポンプ、廃熱利用設備に利益プールが移る可能性があります。[21]

次に、シンガポールSS 726が他のASEAN市場やハイパースケーラーの調達仕様へ波及するかです。特に二相式やRDHxがSS 726の現行スコープ外であるため、追加標準や国際標準との整合化も注視すべきです。[10]

第三に、液冷業界のM&A加速です。SLBが41億ドルを投じたことで、熱交換、CDU、コールドプレート、ポンプ、QD、制御などで、他のインフラ・空調・電機大手が買収に動く経済合理性が強まりました。買収倍率や顧客契約の長期化は、日本企業の提携・売却・買収判断にも影響します。[1]

第四に、WUE規制と水利用の開示です。オーストラリア・NSWの2026年8月ガイドラインでも、閉ループ水システムは補給水がほぼ不要で渇水時の事業リスクを軽減できるとされ、水が必要な場合には再生水を優先する考え方が示されています。世界のデータセンター政策が「電力だけ」から「電力+水」へ移る方向性は明確です。[26]

実務面では、日本企業の経営陣は以下の四つを優先すべきです。

液冷ロードマップを設備部門だけに任せず、経営会議のテーマにすることです。 2027~2030年に想定するラック密度、冷却水温、PUE、WUE、増設方式を先に決め、GPU調達とデータセンター設備投資を同じロードマップで管理する必要があります。高密度化が急速なため、サーバー契約後に冷却を検討する順番では手戻りリスクが高くなります。[27]

サプライチェーンではCDUだけでなく「壊れると全ラックが止まる部品」を特定し、二重調達することです。 ポンプ、QD、バルブ、シール、マニホールド、漏液センサー、冷却液などは単価以上にシステム可用性への影響が大きいためです。シンガポールのSS 726も、材料、冷却液、保守、漏液等をシステムリスクとして扱っています。[10]

新設案件では「閉ループ+高温水+チラーレス可能性+廃熱利用」を基本ケースとして比較検討することです。 必ずしも全地域でこれが最適とは限りませんが、従来型チラー方式だけをベースケースにすると、今後の高温冷却対応機器の利点を取り逃す可能性があります。[27]

M&A・事業開発部門は、液冷を「空調市場」ではなく「AIインフラ市場」として評価し直すべきです。 SLB/Kelvionの取引は、その評価替えが既に始まっていることを示しています。日本企業が比較優位を持つポンプ、モーター、熱交換器、精密接続、材料、流体制御のいずれかで世界シェアを狙えるのであれば、AI半導体そのものへの参入より資本効率の高い成長戦略になり得ます。これは今回のニュース群を踏まえた経営上の結論です。[28]


[1] [9] [23] [28] www.slb.com

SLB to Acquire Kelvion, Expanding its Role Across Data Center Infrastructure
Scalable, energy-efficient and reliable thermal management technologies will optimize operating performance in increasin...

[2] www.imda.gov.sg

Singapore launches world’s first liquid cooling standard for data centres in tropical climates | IMDA
Singapore has launched the world’s first standard to help data centres adopt liquid cooling technologies in the tropics.

[3] [20] [24] Closed-Loop Cooling Explained: The Plumbing Behind Meta’s AI

Closed-Loop Cooling Explained: The Plumbing Behind Meta's AI
Tom Shaw explains how Meta is using closed-loop liquid cooling to power AI more efficiently.

[4] [11] [21] [27] AI factory cooling vs cloud data centres: Why liquid cooling is essential for high-density AI workloadsAI factory cooling vs cloud data centres: Why liquid cooling is essential for high-density AI workloads | Schneider Electric South Africa

301 Moved Permanently

[5] Australia data centre firm NextDC reports rising water, energy use with profit beat

reuters.com

[6] [15] [19] Liquid Cooling Options: RDHx, Direct-to-Chip, Immersion

Liquid Cooling Options: RDHx, Direct-to-Chip, Immersion
AI workloads push data center rack densities beyond the limits of air cooling. Three liquid cooling approaches offer dif...

[7] Data Center Thermal Management: Top Cooling Questions Answered

Data center thermal management: A practical guide for AI workloads
Explore AI data center thermal management, from mitigating rising chip temperatures to liquid cooling for high-density A...

[8] [10] Singapore launches world’s first liquid-cooling standard for AI data centres

Singapore launches world’s first liquid-cooling standard for AI data centres
Singapore has launched SS 726:2026, a liquid-cooling standard designed for high-density AI data centres operating in tro...

[12] [13] [14] Prime Data Centers Releases 2026 Sustainability Report, Highlighting Progress Across Climate, Energy and Water

https://www.businesswire.com/news/home/20260824307594/en/Prime-Data-Centers-Releases-2026-Sustainability-Report-Highlighting-Progress-Across-Climate-Energy-and-Water

[16] [17] Ablecom takes control of Jochu to expand AI server rack …

Ablecom takes control of Jochu to expand AI server rack, liquid cooling business
Ablecom Technology said it had joined a private placement for Jochu Technology and become the listed company's largest s...

[18] [25] 欧州で生成AIデータセンター向け液冷システム事業を開始

欧州で生成AIデータセンター向け液冷システム事業を開始 | 経営・財務 | 企業・経営 | プレスリリース
欧州で生成AIデータセンター向け液冷システム事業を開始

[22] Co-packaged optics (CPO) – AI Infrastructure

What is Co-packaged Optics? | AI Clusters | AI Infrastructure
Learn about CPO, its benefits and challenges for AI Infrastructure.

[26] NSW Data Centre Guidelines

https://www.infrastructure.nsw.gov.au/media/4jlictae/id0073_nsw-data-centre_guidelines.pdf

さっつーのよい知らせ:最新話

【さっつーのよい知らせ】第19話・仲直り(アナログイラスト・漫画×癒し)

【漫画×アニメ】サメじろう家族の結末。仲直りか、それとも…|さっつーのよい知らせ・19話 仲直り

【あらすじ】

「ーー確かに、パパさんのやってきたことは良いこととは言えないけど、それでも、ゆるしてあげよう。」
さっつーのこの言葉を胸に、サメじろうはパパと仲直りできるのか!?

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イラスト・原作:ソラガスキ

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