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NTT・古河電工 光チップレット生産性10倍、KDDIはBroadcomとCPO検証:海外/日本の光電融合・CPO重要ニュース: 10月31日までの2週間:東証プライム経営者用サマリー

[前回のエグゼクティブサマリー]

調査対象期間:2026年10月18日〜10月31日の14日間

情報基準日:2026年10月31日

想定読者:東証プライム上場企業の経営者、経営企画、CFO、CTO、半導体・電子部品・通信・AIデータセンター事業責任者

  1. 冒頭:CPOは「実装可能なシステム」から「大量生産と顧客評価」へ
  2. 1.〖今回最重要〗NTT・古河電工・新光電気工業など――光チップレットの生産性10倍以上を目標に、国内量産基盤の開発へ
  3. 2.KDDI・Broadcom――Tomahawk 6–Davisson CPOを日本のAIデータセンターで共同検証
  4. 3.Marvell・Lumentum――約830億ドルの時価総額を持つ光部品企業を巡り買収交渉報道
  5. 4.Advanced Photonics Coalition――60社が協力し、CPOの量産・検査に関する5種類の文書を公表
  6. 5.PsiQuantum――8×8光スイッチで挿入損失1.2dB、切り替え3ミリ秒未満を実証
  7. 6.東京科学大学・産総研――200Gb/sシリコン光変調器、駆動エネルギー26fJ/bitを実証
  8. 7.Foxconn・Lightwave Logic――200G/400G per laneを狙う光電気ハイブリッド技術を実演
  9. 8.Advantest・Teradyneなど――CPO量産の新たな制約は光エンジンの検査費用と不良解析
  10. 9.古河電工――320心を一括接続するSnap-Beam技術、CPOの保守性に日本企業の商機
  11. 10.日本フォトニクス協議会など――「フォトニクス工業会」設立、国内光産業の横断的な事業化を推進
  12. 今回の14日間から見える5つの変化
    1. 第一は、CPOの競争が「製造できるか」から「低コストで大量生産できるか」へ移り始めたことです。
    2. 第二は、光電融合が海外メーカーの技術展示から、日本のAIデータセンター事業者による評価へ進んだことです。
    3. 第三は、半導体企業による光技術の垂直統合が重要な経営テーマになったことです。
    4. 第四は、光接続の方式がCPO一方式に集約されるのではなく、用途別に分化していることです。
    5. 第五は、日本企業の商機が光半導体単体から、製造・実装・検査・接続へ広がっていることです。
  13. 経営者が確認すべきこと
  14. まとめ:光電融合の次の競争は、光半導体の性能ではなく、産業としての供給能力で決まる

冒頭:CPOは「実装可能なシステム」から「大量生産と顧客評価」へ

前号「CPOスイッチをカナダCelesticaがラック化:10月17日までの2週間」では、光電融合・CPO(Co-Packaged Optics)が、光エンジン単体の技術開発から、ラック、液冷、電源、外部レーザー、着脱コネクタ、運用監視までを統合した「実装可能なシステム」へ移ったと整理しました。

Celesticaの102.4Tbps液冷CPOスイッチ、Lightmatterの204.8Tbps CPOスイッチトレイ、Wiwynn・Ayar Labs・GUCによる光I/O統合計算機のライブデモが、その変化を象徴していました。

一方、CiscoとNVIDIAは400G/レーン対応の高密度プラガブル規格USFPを提案し、CredoなどはSRMOの標準化を開始しました。CPOがすべての光通信を置き換えるのではなく、用途ごとに複数の光接続方式が並存する市場が見え始めました。

今回の14日間では、さらに次の段階への動きが確認されました。

第一に、日本ではNTT、古河電工、新光電気工業などが、光チップレットの製造生産性を研究開発段階の10倍以上へ引き上げることを目標とする国家支援事業を開始しました。日本の光電融合技術を、大量供給できる半導体製造技術へ転換する取り組みです。

第二に、KDDIがBroadcomとの技術提携を発表し、Tomahawk 6–Davisson CPOを実際のAIデータセンター環境で評価する段階へ進みました。海外で発表されたCPOスイッチが、日本のAIインフラ事業者による実用評価の対象になりました。

第三に、米国では60社が参加するAdvanced Photonics Coalitionが、CPO、シリコンフォトニクス製造、光接続に関する5種類の仕様・推奨実務文書を公表しました。共通の製造・検査方法を整え、複数企業が供給できる産業構造を形成する動きです。

さらに、MarvellによるLumentum買収交渉の報道、Foxconnによる新しい光トランシーバーの実演、PsiQuantumによる低損失光スイッチの発表が続きました。ただし、買収交渉は未成立であり、新技術の実演も量産開始を意味しません。

今回の14日間を一言でまとめれば、「CPOをシステムとして動かせるか」から、「顧客が評価し、工場が大量生産し、複数の供給企業が支える産業にできるか」へ競争軸が移り始めたということです。

その結果、光電融合の競争には、システム半導体企業だけでなく、通信事業者、半導体ファウンドリー、光部品メーカー、検査装置メーカー、精密実装企業、光コネクタ企業が一層深く関わるようになっています。

1.〖今回最重要〗NTT・古河電工・新光電気工業など――光チップレットの生産性10倍以上を目標に、国内量産基盤の開発へ

発表日:10月20日

元記事:NTT「次世代AIコンピューティングを支える光電融合デバイスの量産技術開発を本格化」

NTT公式発表を読む

NTT、NTTイノベーティブデバイス、ジャパンセミコンダクター、古河電工、新光電気工業の5社は、光チップレットの量産技術開発を本格化すると発表しました。NEDOのポスト5G関連事業に4社の共同研究開発提案が採択され、NTTはアドバイザーとして参加します。

最大の注目点は、研究開発段階と比較して10倍以上の製造生産性を目指すことです。光チップレットを搭載した半導体デバイスについて、実工場への適用を見据えたパイロットラインを構築し、製造・検査・実装工程を検証します。これは目標値であり、すでに生産性が10倍になったわけではありません。

各社の役割は明確です。

  • NTTイノベーティブデバイス:光チップレットの製造・検査・実装技術
  • ジャパンセミコンダクター:異種材料集積に適したシリコンフォトニクス量産技術
  • 古河電工:化合物光半導体の量産技術
  • 新光電気工業:光チップレット実装と工程内検査を含む量産プロセス
  • NTT:企業連携とサプライチェーン形成

この分業構造が重要です。CPOでは、シリコンフォトニクスだけでは製品が完成しません。InPなどの化合物光半導体、光ファイバーとの結合、半導体パッケージ、光・電気の複合検査が必要になります。

海外ではBroadcomやNVIDIAを中心にCPOシステムの開発が進んでいますが、今回の日本勢の取り組みは、その製造サプライチェーンに参入するための基盤整備と位置付けられます。

現時点ではNEDO事業への採択と量産技術開発の開始段階です。量産能力、顧客認定、Design Win、量産出荷時期は未公表です。日本企業の商機は大きいものの、実際の競争力は今後の製造原価、歩留まり、検査時間、国際顧客の採用によって決まります。

NTT+1

2.KDDI・Broadcom――Tomahawk 6–Davisson CPOを日本のAIデータセンターで共同検証

発表日:10月22日

元記事:KDDI「AIの社会実装に向け、Broadcomとネットワークインフラ技術で提携」

KDDI公式発表を読む

KDDIは米Broadcomとネットワークインフラ技術に関する提携を締結し、CPOを活用したGPU間ネットワークの共同検証を開始すると発表しました。

KDDIのAIデータセンターに検証環境を構築し、BroadcomのスイッチASIC「Tomahawk 6」と光エンジン「Davisson」を組み込んだCPOスイッチを導入する計画です。

検証対象は単なる最大通信速度ではありません。CPOによる消費電力削減に加え、AIの分散学習と推論を想定したパケットロス、ネットワーク輻輳制御、実効スループットを評価します。

このニュースは、日本のAIデータセンター事業者がCPOを具体的なネットワーク設計の候補として評価し始めたことを示しています。

光電融合導入の投資判断では、ポート当たりの電力だけでなく、GPU稼働率、学習処理の完了時間、障害時の復旧時間、保守費用を合わせて評価する必要があります。

また、KDDIは今回の提携で、次世代FTTH技術についてもBroadcomと検討します。ただし、これはAIデータセンター向けCPOとは別の技術適用領域です。

今回の段階は技術提携と共同検証の開始です。 CPOの正式な商用採用、全AIデータセンターへの展開、大量発注を発表したものではありません。

KDDI ニュースルーム+1

3.Marvell・Lumentum――約830億ドルの時価総額を持つ光部品企業を巡り買収交渉報道

報道日:10月28日

元記事:Reuters「Marvell Technology in advanced talks to buy optics maker Lumentum, source says」

Reutersの報道を読む

Reutersは10月28日、Marvell Technologyが光通信部品大手Lumentum Holdingsの買収に向けて高度な交渉を進めていると報じました。Bloombergも関係者情報に基づいて交渉を報じています。

Reutersによれば、報道時点のLumentumの時価総額は約830億ドルでした。ただし、これは買収価格ではありません。正確な取引条件は未公表です。

MarvellはAI向けカスタムASIC、ネットワーク半導体、光インターコネクトを事業の重要分野に位置付けています。2025年には光インターコネクト企業Celestial AIを32億5,000万ドルで買収する計画を発表しました。

LumentumはInPレーザー、光部品、データセンター向け光接続技術を持っています。仮に買収が実現すれば、MarvellはAI演算・ネットワーク半導体から光源・光通信部品まで、技術と供給能力をより広く統合する方向に進みます。

ここにCPO産業の重要な変化があります。

光エンジンをASICの近傍に統合するには、半導体だけでなく、レーザーの供給能力、光部品の歩留まり、精密実装、検査設備の確保が不可欠です。半導体企業にとって、これらを外部から購入するか、自社グループに取り込むかが戦略的な選択肢になります。

ただし、10月31日時点で確認できるのは買収交渉に関する報道であり、正式契約や買収成立ではありません。 統合効果や買収金額を確定事項として扱うべきではありません。

MarketScreener Canada+1

4.Advanced Photonics Coalition――60社が協力し、CPOの量産・検査に関する5種類の文書を公表

発表日:10月20日

元記事:Advanced Photonics Coalition「Portfolio of Specifications and Best Practice Documents」

Advanced Photonics Coalition公式発表を読む

米Advanced Photonics Coalition(APC)は、60の加盟組織が関わる取り組みとして、AIデータセンター向け光通信部品の大量生産を促進する5種類の仕様・推奨実務文書を公表しました。

対象には、CPOのシステムアーキテクチャ、CPOの推奨実務、シリコンフォトニクスの検査、4コアのマルチコア光ファイバーと接続部品、シリコンフォトニクス製造仕様が含まれます。

今回の文書は、製造工程やインターフェース、検査方法の共通化を目指すものです。単なる通信速度の標準化ではありません。

例えば、同じ仕様の光チップレットであっても、企業ごとに異なる光ファイバー結合方法や検査条件を採用すると、代替調達や複数工場での生産が難しくなります。

APCは、こうした企業固有の違いを減らし、複数の供給元を確保できる環境を整えようとしています。OCSについても、ラック単位の導入に必要な信頼性や構成要件の検討を進めています。

東証プライム企業にとって重要なのは、標準化活動への関与が海外顧客のDesign Win獲得につながる可能性です。部品単体の性能が高くても、顧客の製造・検査仕様と一致しなければ採用されません。

今回公表されたのはAPCによる仕様・推奨実務文書です。すべてのCPO製品がこれに適合・認定されたことや、OCPによる仕様承認を意味するものではありません。

PR Newswire+1

5.PsiQuantum――8×8光スイッチで挿入損失1.2dB、切り替え3ミリ秒未満を実証

発表日:10月28日

元記事:PsiQuantum「PsiQuantum Unveils Optical Circuit Switch Technology Built on Advanced, Low-Loss Silicon Photonics Platform」

PsiQuantum公式発表を読む

量子コンピューター開発企業PsiQuantumは、同社が蓄積してきたシリコンフォトニクス技術をAIデータセンター向け光回路スイッチ(OCS)へ展開すると発表しました。

公開されたのは8入力・8出力のOCS試作機です。同社の社内試験による代表的な数値は、挿入損失1.2dB、クロストーク40dB、接続切り替え時間3ミリ秒未満です。光増幅を使わずに測定したと説明しています。

OCSは、光信号を途中で電気信号に変換せず、光のまま接続先を切り替える技術です。スイッチASICと光エンジンを統合するCPOとは異なりますが、AIデータセンターの光ネットワークを構成する重要な選択肢です。

PsiQuantumの方式は可動部を持たないシリコンフォトニクス構造を採用しています。量子コンピューター向けに開発した低損失光回路を、一般のAI計算基盤へ転用できる点に注目できます。

同社によれば、試作機のサンプルを一部の見込み顧客へ提供し、商用製品の開発を進めています。

ただし、8×8の試作機は、大規模AIクラスタに必要なポート数を備えた商用システムではありません。現段階では技術実証と顧客サンプル提供であり、商用量産やデータセンターへの大規模配備ではありません。

PsiQuantum+1

6.東京科学大学・産総研――200Gb/sシリコン光変調器、駆動エネルギー26fJ/bitを実証

発表日:10月26日

元記事:東京科学大学「光電融合に向けた高性能シリコン光変調器を開発」

東京科学大学公式発表を読む

東京科学大学、横浜国立大学、産業技術総合研究所の研究チームは、光電融合向けの小型シリコン光変調器を開発し、200Gb/sの高速動作を実証しました。

技術的な特徴は、光を遅く伝搬させるフォトニック結晶導波路の「スローライト」と、波形補償機能を持つ電気光学イコライザを組み合わせたことです。

従来、200Gb/s級の高速光変調では、電気側のデジタル信号処理(DSP)や高電圧ドライバの電力負担が問題になっていました。

今回の実験では、DSPによる波形補償を使用せずに180Gb/sのPAM4動作を確認し、簡素な受信側DSPを用いた場合には1.5Vで200Gb/sを達成しました。

また、別の140Gb/sオン・オフ変調条件では、0.6V駆動で最小26fJ/bitのエネルギーを実証しています。26fJ/bitは200Gb/s動作時の測定値ではありません。 この区別は重要です。

同研究では300mmウエハー対応プロセスで光変調器を作製しており、将来のCPO量産につながる可能性があります。

ただし、現段階は研究用デバイスの性能実証です。光変調器単体の性能が、そのまま完成したCPOシステムの電力効率や量産歩留まりを保証するものではありません。

Science Tokyo – 東京科学大学+1

7.Foxconn・Lightwave Logic――200G/400G per laneを狙う光電気ハイブリッド技術を実演

発表日:10月29日

元記事:Lightwave Logic「Electro-Optic Polymer Technology Integrated into Hon Hai Technology Group Optical Transceiver」

Lightwave Logic公式発表を読む

Lightwave Logicは、同社の電気光学ポリマーを組み込んだ光トランシーバーを、台湾Hon Hai Technology Group(Foxconn)が10月30〜31日のHon Hai Tech Day 2026で実演すると発表しました。

今回の光エンジンには、シリコンフォトニクスと有機電気光学ポリマーを組み合わせるSilicon-Organic Hybrid(SOH)方式を採用しています。

この方式では、ポリマーの電気光学特性を利用し、高速変調に必要な駆動電圧と消費電力を抑えることを目指します。

両社が開発対象として掲げるのは、200Gbps/レーンおよび400Gbps/レーンの光トランシーバーです。400G/レーンは、前号でCiscoとNVIDIAが提案したUSFPの方向性とも共通する重要な技術目標です。

注目点は、光材料の研究企業と、半導体実装・電子機器量産に強いFoxconnが連携していることです。新素材が競争力を持つには、デバイスの性能だけでなく、パッケージ化、熱安定性、顧客認定、大量製造プロセスへの適合が必要です。

今回確認されたのは光トランシーバーのシステム実演です。400Gbps/レーンの量産出荷や顧客Design Winが発表されたわけではありません。 両社は引き続き試験と認定作業を進めています。

Newswire+1

8.Advantest・Teradyneなど――CPO量産の新たな制約は光エンジンの検査費用と不良解析

報道日:10月26日

元記事:Semiconductor Engineering「Bringing Down Test Costs For Co-Packaged Optics」

Semiconductor Engineeringの専門家討論を読む

半導体専門媒体Semiconductor Engineeringは、Teradyne、Advantest America、ASE傘下ISE Labs、Keysight Technologiesの専門家による、CPO量産検査の課題についての討論を公開しました。

最も重要な指摘は、光部品の検査コストが製造コストに近づいていることです。ASE系の専門家は、光部品の検査コストが製造コストに迫り、複雑化によってそれを上回る可能性にも言及しています。

CPOでは、比較的安価な光エンジンの不良によって、高価なスイッチASICやAIアクセラレータを搭載したパッケージ全体が不良になるリスクがあります。

このため、実装前に品質を保証するKnown-Good Optical Engineの確立が重要になります。

しかし、レーザー、光エンジン、ファイバー接続、半導体ASICが一体化すると、故障原因を分離することが難しくなります。光・電気の同時測定、ループバック試験、テスト時の基準レーザー、熱特性の検証などが必要です。

経営上の問題は、検査回数を減らせば必ず製造コストが下がるとは限らないことです。検査不足によって高額なパッケージを廃棄する費用が増えれば、全体の採算性は悪化します。

これは特定企業の新製品発表ではなく、量産現場の専門家による業界評価です。ただし、CPO量産の収益性を左右する制約が、デバイス製造だけでなく検査工程にもあることを明確に示しています。日本の半導体検査装置・計測装置企業にとって重要な事業機会です。

Semiconductor Engineering+1

9.古河電工――320心を一括接続するSnap-Beam技術、CPOの保守性に日本企業の商機

発表日:10月30日

元記事:古河電工「光電融合用小型多心光コネクタSnap-BeamがECOC 2026でFibre Infrastructure Innovation Awardを受賞」

古河電工公式発表を読む

古河電工は10月30日、同社の光電融合用小型多心光コネクタ「Snap-Beam Connector」がECOC 2026でFibre Infrastructure Innovation Awardを受賞したと公表しました。

受賞自体は9月の出来事ですが、今回の発表では製品の高密度接続技術と実装上の特徴が改めて示されています。

Snap-Beamは、光路を拡大するレンズ方式と磁石を利用した接続機構を組み合わせた技術です。リフロー実装にも対応し、光集積回路(PIC)と光ファイバーの着脱を容易にすることを狙います。

技術発表では、8×40チャネル構成によって、320心の光ファイバーを一括接続する高密度コネクタも紹介されています。

CPOの普及では、スイッチASICの速度だけでなく、数百本に及ぶ光ファイバーを短時間かつ再現性よく接続できることが重要です。

特に液冷ラックでは、光ファイバーの取り回し、接続位置、交換時の作業空間が厳しく制約されます。高密度で着脱可能な光接続は、設備全体の保守性に直結します。

ただし、今回の発表は技術評価・受賞の公表であり、大口顧客からの量産発注や売上計上の発表ではありません。採用時には挿入損失、繰り返し着脱耐久性、現場清掃性、第二ソースの確認が必要です。

古河電気工業株式会社

10.日本フォトニクス協議会など――「フォトニクス工業会」設立、国内光産業の横断的な事業化を推進

発表日:10月19日

元記事:TECH+「日本の光産業の競争力強化へ、『フォトニクス工業会』が設立」

TECH+の報道を読む

日本フォトニクス協議会(JPC)と光融合技術協会(AIOT)は、10月19日に「フォトニクス工業会(JPIA)」を設立したと明らかにしました。

新団体は、光関連企業、大学、研究機関の連携を強化し、共同研究、標準化、人材育成、政策提言、事業化支援を推進する方針です。

設立発起人には、精工技研、日本レーザー、シグマ光機、オハラ、QDレーザ、オキサイドなどの光関連企業の関係者が名を連ねています。

光電融合・CPOに特化した団体ではありませんが、日本の光関連企業が、異なる技術分野をまたいで製品化や海外市場参入を進めるための産業基盤として注目できます。

CPOでは、光半導体、実装基板、光コネクタ、検査装置、液冷技術など、多数の専門企業の連携が必要です。国内企業が個別の優れた技術を保有していても、海外のシステムメーカーに共同提案できなければ事業化につながりません。

今回の段階は団体設立と活動方針の公表です。個別のCPO共同開発契約や海外顧客獲得が実現したわけではありません。産業横断的な供給体制を整える取り組みとして評価できます。

TECH+(テックプラス)+1

今回の14日間から見える5つの変化

第一は、CPOの競争が「製造できるか」から「低コストで大量生産できるか」へ移り始めたことです。

NTT陣営の量産技術開発とAPCの製造・検査仕様公表は、同じ方向を示しています。光チップレットの性能だけでなく、製造歩留まり、検査時間、実装精度、複数の工場で再現できる工程が競争力になります。

第二は、光電融合が海外メーカーの技術展示から、日本のAIデータセンター事業者による評価へ進んだことです。

KDDIとBroadcomの共同検証は、その具体例です。顧客が確認するのは理論上の通信帯域ではなく、実際のAIワークロードにおける性能、電力、安定性、保守費用です。今後は顧客評価をDesign Winと商用導入につなげられる企業が有利になります。

第三は、半導体企業による光技術の垂直統合が重要な経営テーマになったことです。

MarvellとLumentumを巡る買収交渉報道は、AI半導体、ネットワーク、光源、光部品の関係が一段と密接になっていることを示します。ただし、買収は未成立です。統合戦略と並行して、独立した部品メーカーによる複数顧客への供給体制も引き続き重要です。

第四は、光接続の方式がCPO一方式に集約されるのではなく、用途別に分化していることです。

FoxconnのSOH光トランシーバー、PsiQuantumのOCS、日本の200Gb/s光変調器は、それぞれ異なる技術層を対象としています。CPO、着脱型トランシーバー、OCS、光D2Dが、距離、帯域、電力、保守性に応じて使い分けられる市場が形成されつつあります。

第五は、日本企業の商機が光半導体単体から、製造・実装・検査・接続へ広がっていることです。

古河電工の高密度コネクタ、NTT陣営の量産プロセス開発、Advantestなどが関わる検査技術が、その具体例です。最終的なCPOスイッチを製造しない日本企業であっても、量産工程の不可欠な部分を担えば、海外の複数メーカーへ供給できる可能性があります。

経営者が確認すべきこと

1. 自社の光電融合関連事業はどの段階にあるか。 技術開発、顧客評価、Design Win、量産開始、売上計上を区別し、商用化までの工程を明確にしているか。

2. 製造原価と検査コストを把握しているか。 光エンジンの歩留まり、検査時間、実装後の不良率、高価なASICを含むパッケージの廃棄損失まで試算しているか。

3. 海外の標準仕様と接続できるか。 APC、OCP、OCIなどの関連活動を把握し、顧客のインターフェース、信頼性、検査条件に自社製品が適合するか確認しているか。

4. CPOの導入効果をAIシステム全体で評価しているか。 光モジュール単体の消費電力ではなく、スイッチ、外部レーザー、冷却、GPU稼働率、保守停止を含む総所有コストで比較しているか。

5. 特定顧客・特定方式への依存が強すぎないか。 CPO、NPO、USFPなどのプラガブル方式、OCS、Optical D2Dのうち、自社技術が対応できる市場と第二ソース戦略を整理しているか。

6. 海外の設計・量産エコシステムへ参入する体制があるか。 光部品、化合物半導体、コネクタ、精密実装、検査の技術を持つ企業は、海外のASIC企業、ODM、ハイパースケーラーとの共同評価ルートを確保しているか。

まとめ:光電融合の次の競争は、光半導体の性能ではなく、産業としての供給能力で決まる

2026年10月18日から31日までの14日間は、光電融合・CPO産業の競争構造が、一部の半導体メーカーによる先端技術開発から、製造、検査、実装、顧客評価、標準化を含む広いサプライチェーンへと拡大する動きを示した期間でした。

前号では、CPOスイッチを液冷ラックへ組み込み、外部レーザーや着脱コネクタとともに稼働させる技術が具体化しました。

今回は、それを数万台規模のAIインフラへ供給するために何が必要なのかが、より明確になりました。

光チップレットは、大量に製造できなければ供給能力になりません。光エンジンは、製造できても検査が遅く、不良率が高ければ採算が成立しません。光コネクタは、接続できても現場で短時間に交換できなければ、データセンターの保守負担になります。

また、通信帯域が大きくても、実際のAI学習・推論処理で性能が改善しなければ、顧客にとって十分な投資理由にはなりません。

こうした制約を一つずつ解決するために、半導体企業、光部品メーカー、通信事業者、ファウンドリー、検査装置メーカーの連携が進んでいます。

日本企業にとって特に重要なのは、海外のCPOスイッチ市場で最終製品の主導権を握る企業だけが利益を得るわけではないことです。

化合物半導体、光変調器、精密実装、光接続、検査、液冷といった工程には、日本の製造業が競争力を発揮できる領域があります。

ただし、10月31日時点で、今回の開発案件の多くは量産出荷や大規模商用運用には達していません。技術的な可能性と確定した売上を混同しないことが必要です。

光電融合・CPOの次の競争は、「誰が最も高速な光半導体を開発したか」だけでは決まりません。「誰が安定して大量に作り、複数の顧客へ供給し、AIデータセンターで長期間運用できる仕組みを構築したか」が、産業としての勝敗を左右します。

今回の14日間は、その競争軸への移行が、日本国内の具体的な共同研究開発と顧客検証、海外の標準化・企業戦略によって確認された期間だったと位置付けられます。

さっつーのよい知らせ:最新話

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イラスト・原作:ソラガスキ

光電融合/CPO