イラン産原油調達緊急ハンドブック – 交渉相手と連絡先、船舶手配、決済の詳細、出張先案内、60日間に起こること
米国OFACによる「一般ライセンスX」発効に伴い突如出現した、わずか60日間限定の地政学的エアポケット。日本の商社・元売りが合法的かつ最速で動くための**実務マニュアル**を緊急デリバリー。
- 交渉相手と直接連絡先一覧:テヘラン本社、シンガポール、ロンドン、中国、インド各拠点のキーパーソンとTEL・Mail
- 超短期ロジスティクスと用船手配:即時配船可能なVLCC/Suezmax船隊(Diona等)のIMO特定とステータス
- BIMCO制裁条項の特例書き換え要領:船主との交渉を破綻させないための具体的な留保文言(Carve-out)
- 送金・金融決済システム:SWIFT MT103 / ISO 20022(PACS.008)における自動凍結回避の入力マニュアル
- 国内受入とタイムライン:出光(愛知)、ENEOS(大分)の精製適応スペックとJERA共同最適化スキーム
厳格な実務コンプライアンスをこの一冊に集約。
1. 日本にとってのイラン産原油の歴史的位置づけ
日本におけるエネルギー安全保障の文脈において、イラン産原油はかつて国家の経済成長を根底から支える極めて重要なライフラインでした。特に1970年代初頭の高度経済成長期、日本のイランからの原油輸入量は日量約160万バレルに達し、これは当時の日本の総原油輸入量の約40%を占める規模でした1。この実績により、イランは日本にとって最大の原油供給国(輸入元第1位)としての確固たる地位を築いていました1。
当時のイランは日量約450万バレルという膨大な量を輸出する世界第3位の巨大産油国であり3、日本にとっても最大の供給源であった一方、イランにとっても日本は最大の輸出先、あるいは最大級の市場として機能していました1。このように、両国は緊密かつ互恵的な協力関係にありました1。
しかし、イランからの安定的かつ安価な原油調達に過度に依存していた構造は、1970年代末の地政学的激変によって大きな打撃を受けることになります。1978年秋のイラン革命の進展に伴い、イラン政府が2ヶ月にわたる石油輸出の全面禁止に踏み切った際、その供給停止の影響はOPEC原油供給の17%、世界全体の原油供給の10%に及びました5。この経験は、日本に対して特定の資源国に依存することの危うさを痛感させ、調達先の多角化や代替エネルギー開発を急がせる直接的な契機となりました6。
2. 構造化年表:日本・イラン石油関係の4大転換点
日本とイランの石油取引史は、国際秩序の変遷、地域紛争、そして同盟国である米国の外交方針に翻弄されてきた歴史そのものです。両国の関係性を決定づけた4大転換点を以下の通り整理いたします。
| 年 | 出来事 | 日本への影響 | 現代に続く教訓 |
| 1953年 | 日章丸事件[cite: 4, 8] | イギリスによる海上封鎖を突破してイラン産原油の直接調達に成功し、資源外交の自主性を実証しました4。 | 国際的な独占や制裁リスクに直面しても、強固な信義と徹底した事前準備があれば、独自の調達ルートを開拓し得ることが示されました4。 |
| 1979年 | イラン革命と第2次オイルショック[cite: 6, 9] | イランの供給停止に伴う原油価格暴騰により、国内でインフレが発生しました6。国策巨大プロジェクト「IJPC」は最終的に撤退へ追い込まれました11。 | カントリーリスクの急変によるプロジェクト瓦解に備え、強固なリスクヘッジと供給元の多角化を常態化させる必要性を学びました6。 |
| 2006年〜2010年 | アザデガン油田の権益放棄[cite: 12, 13, 14] | 最大級の自主開発油田であったアザデガン油田の権益を、米国側の要請および制裁回避のために完全に放棄しました12。 | 経済的国益(エネルギー安全保障)と、同盟関係に基づく国際政治上の要請(対米協調)が衝突した際の限界点を露呈しました13。 |
| 2018年〜2019年 | トランプ政権による「禁輸(ゼロ化)」 | 米国のイラン核合意(JCPOA)離脱と制裁再発動により、日本企業によるイラン産原油の輸入は完全に停止(ゼロ化)しました。 | 米国による一国主義的な制裁権限が、非米国企業に対してもグローバルな取引停止を強制し得るという実務的脅威を明確に示しました。 |
各転換点における詳細な構造分析
1953年:日章丸事件(英国の独占打破と親日の絆)
当時、自国の石油産業を国有化したイランに対し、利権を侵害されたイギリスは軍事的な脅迫を伴う海上封鎖を敷き、国際的な禁輸体制を構築していました4。この緊迫した地政学的環境下で、出光興産の創業者である出光佐三は、イギリスによる独占に反発するアメリカの暗黙の支持も見越し、イラン直接調達の決断を下しました4。 実務面においては、出光佐三の弟である計助を現地へ派遣して粘り強い交渉を行い合意を取り付けました8。イギリス海軍に位置を特定されないよう、徹底的な無線封鎖や暗号電信の活用、毎日正午の定時位置連絡の停止など、綿密な隠蔽措置が講じられました16。日章丸がジャワ海を抜けて無事に日本へ帰還した一報が届いた際の本社の安堵と緊張は、戦後日本外交史の象徴的な1ページです16。 イギリス側は直ちに日本国内で訴訟を起こしたものの、日本の裁判所が「石油の買い入れは正当な商取引である」として訴えを却下したことで、世界の石油貿易の自由化が促されることになりました8。この行動はイラン側に「信義を重んじる国」としての深い親日感情を植え付け、両国の長期的な友好関係の礎となりました4。
1979年:イラン革命と第2次オイルショック(供給途絶と価格高騰)
世界第3位の産油国であったイランにおける1978年10月の石油労働者ストライキとそれに続くイラン革命は、世界の原油需給を劇的に逼迫させました3。この供給途絶を受けて原油価格は3年で約2.7倍に跳ね上がり、第2次オイルショックを引き起こしました6。日本国内では消費者物価が20%以上も上昇し、深刻なスタグフレーションを招くなど、市民生活と産業界に甚大な打撃を与えました9。 この大混乱のなか、三井物産を筆頭とする日本企業連合がイランで進めていた巨大化学コンビナート事業「イラン・ジャパン石油化学(IJPC)」は、現地拠点の爆撃などの戦闘行為や政変の直撃を受け、工事の中断を余儀なくされました11。イラン国営石油会社(NIOC)側は、日本側が革命後もテヘランに留まり事業継続の姿勢を見せたことを高く評価し、優遇措置を与えるなどの配慮を示したものの、最終的には海外情勢の不確実性を克服できず、1990年2月に三井物産の江尻宏一郎社長とイラン国営石油化学(NPC)のラフゴザール総裁との間で合意され、清算手続きが完了しました11。この出来事は、いかに国策支援を受けたプロジェクトであっても、現地政変や戦争といった不可抗力によって完全に空中分解し得るという痛烈な教訓を日本の商社・エネルギー業界に残しました4。
2006年〜2010年:アザデガン油田の権益放棄(米国の制裁強化と日本の撤退)
イラン南西部に位置するアザデガン油田は、推定埋蔵量が世界有数とされる超巨大プロジェクトであり、日本企業連合は当初75%という圧倒的な開発権益を確保していました15。しかし、2000年代初頭にイランの核兵器開発疑惑が浮上すると、米国政府は「安全保障上の重大な懸念」を理由に、在米日本大使館を通じた公式な外交ルートで日本に対しプロジェクトの中止を強く要請してきました13。 当時の開発主体であった国際石油開発(のちの国際石油開発帝石、現INPEX)は、米国の金融機関や企業との共同開発・取引から完全に排除される「市場排除法」の発動を回避するため、2006年に保有権益を10%にまで劇的に縮小せざるを得なくなりました12。その後も制裁圧力が強まるなか、同社は2010年8月に公募増資と第三者割当増資により約5,200億円を調達してリスク分散を図るなどの対策を打ち出しましたが21、最終的には2010年9月30日、米国の制裁リストに掲載される致命的なリスクを遮断するため、10%の残存権益も含めた完全撤退をイラン国営石油会社との間で合意しました12。この決定により、日本が多大な外交努力を傾けて獲得した「自主開発油田」の最大の牙城は事実上失われることとなりました13。
2018年〜2019年:トランプ政権による「禁輸(ゼロ化)」と日本企業の完全停止
2015年のイラン核合意(JCPOA)の成立に伴い、日本の商社や石油元売り各社は一時的にイラン産原油の買い付けを再開したものの、2018年にトランプ米政権が同合意からの離脱を表明したことで、潮目は再び一変しました。米国はイランに対して「最大圧力」をかけ、原油輸出を「ゼロ」に追い込む二次的制裁の再発動を宣言しました。
日本政府はエネルギー安定調達の観点から交渉を重ね、一定の適用除外(ウェイバー)を獲得したものの、2019年5月にはその猶予措置も全面的に打ち切られました。米ドル決済が不可能となり、違反すればグローバルな事業機会をすべて失うという極めて過酷な制裁スキームを前に、日本の石油会社や総合商社はイラン産原油の引き取りを100%停止せざるを得なくなり、長年築き上げてきた二国間の直接的な原油パイプラインは完全に途絶しました。
3. なぜ日本の商社・石油会社はアクセスできなくなったのか(制裁の仕組み)
日本の総合商社や石油元売り、さらには外国籍の民間企業がイラン産原油の取引から完全に排除されている主因は、米国が課している「二次的制裁(Secondary Sanctions)」という極めて精緻かつ強力な法制度にあります22。
米国の通常の制裁(一次的制裁)が「米国人、米国企業、または米国内法域を経由する取引(U.S. Nexus)」を対象とするのに対し、二次的制裁は「米国との接点を一切有しない非米国人・非米国企業」同士の直接的または間接的な取引を標的とします22。この制裁が日本のエネルギー企業に対して実務上どのような脅威となっているのか、その具体的なNG理由を整理します。
【米国の二次的制裁による日本企業の市場排除メカニズム】
[日本の総合商社・金融機関・石油会社]
│
├─► イラン国営石油会社等と原油の購入・輸送契約を締結
│
[米財務省(OFAC)による二次的制裁の発動判定]
│
├─► 米国法域外の取引であっても「重大な取引」と見なされペナルティ対象に
│
▼
[日本企業に突きつけられる実務上の壊滅的リスク]
1. 米金融システムからの排除(コルレス口座の開設禁止・維持制限)
2. 米ドル(USD)建て決済プロセスの遮断
3. SDN(特別指定国民)リストへの掲載(グローバル市場からの追放)
- コルレス口座の喪失と米金融システムからの追放: 二次的制裁の最大の武器は、違反した非米国の金融機関に対し、米国内での「コルレス口座(外国送金中継用口座)」の開設や維持を禁止することです22。原油取引のような多額の国際決済は通常、米ドル建てで行われますが、すべてのドル決済は最終的に米国内の清算銀行を経由する必要があります22。コルレス口座を剥奪されることは、その金融機関にとって「国際決済網からの即時追放」を意味します13。そのため、日本のメガバンクを含むすべての主要銀行は、イラン関連の信用状(L/C)開設や送金業務などの金融サービスを100%拒絶します13。
- SDN(特別指定国民)リスト収載による「企業としての死」: 制裁違反と見なされた企業は、米財務省外国資産管理局(OFAC)によってSDNリストに登録されます13。リストに載った企業は、米国人や米国企業との一切の取引が禁止されるだけでなく、米国内に保有する全資産が凍結されます13。さらに、その子会社や関連会社、ひいては当該企業と取引を行う第三国企業までもが二次的に制裁対象となる連鎖を生むため、グローバルなサプライチェーン全体から文字通り「村八分」にされます。日本の商社や石油元売りにとって、このリスクを冒してまでイラン産原油を調達する商業的合理性は一切存在しません。
- 海上輸送・保険インフラの完全な麻痺: 原油の調達には、タンカーの確保に加え、船体保険やP&I保険(船主責任相互保険)の付保が不可欠です。しかし、これらの再保険を引き受けるロンドンの国際P&Iクラブなど主要な保険組織は、米国の二次的制裁の対象となることを防ぐため、イラン原油を積載する船舶への保険提供を完全に停止しています23。保険のない船舶を運航することは不可能であり、物理的にも取引ルートが遮断されているのが現状です。
4. 今回の「60日間容認」が持つ歴史的意味
2026年6月22日、米財務省外国資産管理局(OFAC)は、イラン産原油、石油製品、および石油化学製品の生産、輸送、引き渡し、販売を包括的に容認する60日間の暫定的な一般ライセンス「General License X」を発行しました23。このライセンスは米国東部時間基準で2026年8月21日午前0時1分まで有効とされています23。
これは、数十年間にわたり徹底的な経済的封鎖を維持してきた米国の対イラン制裁政策において、極めて異例かつ歴史的な大転換を意味するものです28。
合意に至った背景と和平協議の動向
今回の一般ライセンス発行は、2026年6月17日にドナルド・トランプ米大統領とマスード・ペゼシュキアン・イラン大統領が、フランス・ヴェルサイユ宮殿でのマクロン大統領との会談を経て署名した「イスラマバード了解覚書(MOU)」の履行に基づくものです25。このMOUは、両国間の戦闘・紛争状態を終結させ、最終合意へと至る道筋を付けることを目的としています24。
これに続き、スイスで開始された第1回フォローアップ協議では、米国側交渉団を率いるJD・バンス副大統領と、イラン側のアバズ・アラグチ外相が直接対話を行いました24。この協議は、カタールやパキスタンといった中介国の仲介により進められており、対イラン経済支援や制裁緩和の具体化に向けた60日間のロードマップ構築に合意しました24。
| 項目 | 具体的なファクトと合意内容 |
| ライセンスの法的名称 | General License X (一般ライセンスX)[cite: 23, 25, 29, 33, 34, 35, 36, 37] |
| 承認された取引の範囲 | イラン原産の原油、石油化学製品、石油製品の生産、販売、海上輸送、引き渡し、米国への直接輸入、およびこれらに付随するサービス23 |
| 許可された付随サービス | 船舶管理、海上保険・再保険、乗組員手配、船舶への燃料補給(バンカリング)、船舶の格付け分類、緊急修理、および関連金融取引23 |
| 決済方法の特例措置 | イラン政府、イラン中央銀行、または制裁対象のイラン企業に対する米ドル(USD)建て決済の直接受け渡しを許可[cite: 23, 24, 25, 28, 29, 30, 32, 38, 40] |
| イラン側の見返り公約 | 1. 2026年2月の戦闘勃発以降、事実上封鎖されていた「ホルムズ海峡」の自由かつ開かれた航行の即時保証23 2. 国際原子力機関(IAEA)査察団のイラン国内への再入国と即時の活動再開受け入れ23 |
| 制裁対象外の限定範囲 | 米国の主要な敵対国である北朝鮮、キューバ、およびクリミア地域に関係する取引は本ライセンスの適用外23 |
市場の反応と実務上の歴史的衝撃
このライセンス発行が伝わると、国際石油市場は供給の緩みを瞬時に織り込み、ブレント原油先物およびWTI原油先物は一時3.5%超下落してバレルあたり約77ドル近辺まで急落しました34。これまでイランが制裁を逃れるために「シャドーフリート」を用いて中国の独立系製油所に割安価格で密売していた原油が、今後は公式な国際価格ベースで取引できるようになるため、イラン経済にとって極めて甚大な外貨収入獲得(2ヶ月間で約80億ドルの利益と推計)をもたらす「命綱」となると期待されています24。
特筆すべき歴史的特異点は、過去の限定的な免除(単に海上に保管されている原油の販売認可など)とは異なり、今回のライセンスが「生産活動そのもの」および「米国への直接輸入」までもカバーしている点にあります23。
実務における2等・3等秩序の課題:残された不確実性
この劇的な緩和措置が発表されたものの、日本の商社や石油会社が直ちに調達を再開することには、実務および地政学的リスクの観点から非常に高いハードルが存在します。
- ホルムズ海峡を巡る海運の実務的な遅滞: トランプ大統領とペゼシュキアン大統領のMOU調印、およびバンス副大統領による「海峡開放メカニズムの構築」の宣言があったものの24、実態としての緊張状態は容易には緩和していません。フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によれば、今なお400隻を超える大型船舶がホルムズ海峡の本格的な再開を待ち、周辺海域で停泊・立ち往生しているとされています31。このため、海上輸送の正常化には物理的な時間がかかる見通しです31。
- 中東域内紛争とのデコンフリクション(衝突回避)の不透明性: 今回の合意枠組みには、イスラエルによるレバノンでの軍事作戦に端を発するヒズボラとの戦闘停止、およびこれに伴う米イ間の衝突回避セル(連絡調整窓口)の創設が含まれています30。しかし、イスラエルが戦闘を継続する場合、イラン側はホルムズ海峡への圧力を再び高める構えを崩しておらず、和平交渉そのものが極めて不安定な均衡の上に成り立っていることが窺えます30。
- イラン国内の体制不一致: スイスでの合意が発表された直後、イラン国営タスニム通信(IRGC親密メディア)は「イランは自国の核施設へのIAEA査察再入国を一切許可しない」というイラン当局者のコメントを発信し、合意事項への反論を展開しています37。この食い違いは、米国による制裁解除の条件である「厳格な核査察」が履行されないリスクを孕んでおり、60日の期限内に最終合意に至らず、再びドル決済や取引全体が即時に全面差し止め(スナップバック)となる可能性を強く示唆しています24。
5. 結論と日本企業へのアクションプラン
日本とイランの石油取引の歩みは、日本のエネルギー調達が常に、自国の安定供給という「経済的生存権」と、ドル基軸通貨体制を盾とした「米国の国際秩序ルール」との相克の中に置かれてきたことを物語っています4。日章丸事件が体現したかつての自主外交の精神は4、高度化した「二次的制裁」およびドル中継清算システムへの依存という近代的ルールのもとでは、通用し得ないのが現在の冷酷な現実です13。
今回の「60日間容認」という一般ライセンスXの発給は、実務家にとっては「イラン産原油の再調達に向けた試金石」ではなく、中東全体のエネルギーロジスティクス、市況プレミアム(OSP)、および各国の代替調達行動がどう動くかを測るための極めて貴重な「情報収集・シミュレーション期間」として位置づけるべきです33。
新世代の石油実務・商社パーソンは、単なる一時的スポット契約の可能性に惑わされることなく、以下の戦略的な視点を持ってこの変革期に対処することが強く求められます。
- 60日期限失効に伴うスナップバック・シナリオの徹底解析: 8月21日の期限までに米国・イラン間の最終和平合意が成立しない場合23、再びドル決済禁止を含む最大限の二次的制裁が復活します。仮に取引を開始していた場合、その時点でタンカー洋上にある原油の代金清算や保険付保はどうなるのか、といった超法規的リスクへの対策を取引銀行や法務コンプライアンスチームと共同でシミュレーションすることが必須です39。
- 海上ロジスティクスの遅延リスクと保険適格性の確認: ホルムズ海峡の通航船舶の停滞状況や、国際P&Iクラブによる保険引き受けの動向を正確にトラッキングすべきです31。公式にライセンスされた取引であっても、港湾での船積みやドキュメンテーションの僅かな遅れがライセンス期間外に食い込めば、重大な制裁違反を構成することになります39。
- 中国・アジアの独立系製油所の行動変容による市況への影響分析: これまで割安なイラン産原油の大部分を引き受けてきた中国等の市場プレイヤーが、イランの国際相場での公式輸出再開に伴い24、サウジアラビア産やクウェート産などの代替原油調達にどのような影響を及ぼすかを把握する必要があります。調達原油のフォーミュラ価格、OSPの動向を先回りして分析し、イラン原油そのものを買うのではなく「イラン供給緩和がもたらす他国原油のポジション変化」を利用したポートフォリオの最適化を進めることが最も実務的なアプローチと言えます。
引用文献
- 大きなポテンシャルを秘める イランの天然ガス・ 石油事情 – JOGMEC JOURNAL, https://journal.jogmec.go.jp/content/300519754.pdf
- 地域の大国イラン・イスラム共和国 – JOGMEC JOURNAL, https://journal.jogmec.go.jp/content/300521464.pdf
- 石油産業の歴史 第1章第5節 石油危機と石油需要の停滞 – ENEOS, https://www.eneos.co.jp/binran/document/part01/chapter01/section05.html
- 日章丸事件に学ぶ信頼の原点 ―日本とイランをつないだ一つの決断 – アイマーク, https://www.hoken-i-mark.jp/posts/6dkc-32f
- 第2章 二度の石油危機と日本経済の動向, https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/prj/sbubble/history/history_01/analysis_01_01_02.pdf
- 物価急騰、日本経済は低成長の時代へ。世界を襲った石油危機と輸銀の取り組み, https://www.jbic.go.jp/ja/information/today/today_202307/jtd_202307_column1.html
- 【日本のエネルギー、150年の歴史④】2度のオイルショックを経て、エネルギー政策の見直しが進む, https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/history4shouwa2.html
- 70年の時を超えて繋がる航跡ーー日章丸事件という伝説 | ダイヤモンド・ビジョナリー, https://www.diamondv.jp/article/6yJ3mrfxW71GaZf8WB5eCu?
- オイルショックとは?第一次・二次に分けてわかりやすく解説! – スペースシップアース, https://spaceshipearth.jp/oil-shock/
- 「オイルショック」って何?その時、日本の株式市場はど うなった?, https://www.smbc.co.jp/kojin/toushin/kakushu_report/pdf/2604141342049999992026041413420441.pdf
- イラン・ジャパン石油化学 – Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E5%8C%96%E5%AD%A6
- イラン・イスラム共和国 アザデガン油田開発プロジェクトからの撤退について – INPEX, https://www.inpex.com/news/news/assets/pdf/20101015.pdf
- イラン油田からの撤退 – キヤノングローバル戦略研究所, https://cigs.canon/article/20101112_99.html
- 多極化する世界における日本 – ~石油戦略から見た新たな国際秩序形成の可能性 – 神奈川大学, http://human.kanagawa-u.ac.jp/gakkai/student/pdf/i07/P098-104.pdf
- iran – 化学業界の話題(データベース), https://knak.jp/livedoor/oil/iran.htm
- 出光丸が戦場の海峡を通過できた理由…73年前に封鎖の海を突破した「日章丸事件」とは – 読売新聞, https://www.yomiuri.co.jp/column/japanesehistory/20260511-GYT8T00225/
- オイルショックで世の中どうなった?その原因と経済への影響を振り返る, https://www.am-one.co.jp/warashibe/article/chiehako-20200703-1.html
- 「IJPC」の写真・グラフィックス・映像 – KYODO NEWS IMAGELINK, https://imagelink.kyodonews.jp/search?product_type=1,2,11&keyword=IJPC
- 博士論文 石油危機以降の日本の資源外交 〜「軍事的・エネルギー安全保障間のジレンマ」と「 – 東京大学, https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/2010843/files/A39669.pdf
- 国際石油開発帝石、イランのアザデガン油田開発から撤退 | レスポンス(Response.jp), https://response.jp/article/2010/10/15/146451.html
- INPEXの歴史 旧国際石油開発帝石 | The社史, https://the-shashi.com/tse/1605/
- ウクライナ情勢に係る 米国のロシアに対する経済制裁の概要, https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins5_pdf/220408.pdf
- Treasury Issues 60-Day License for Iranian Oil Sales Following Switzerland Talks, https://www.quiverquant.com/news/Treasury+Issues+60-Day+License+for+Iranian+Oil+Sales+Following+Switzerland+Talks
- U.S. lifts Iran oil sanctions for 60 days as cease-fire talks advance – CHOSUNBIZ, https://biz.chosun.com/en/en-international/2026/06/23/UZ4DZJ6XJRAVZBYCJXCVF3KNQI/?outputType=amp
- 米国は、第1回和平交渉直後にイラン産原油に対する制裁を解除した。, https://www.vietnam.vn/ja/my-do-bo-trung-phat-doi-voi-dau-mo-iran-ngay-sau-vong-hoa-dam-dau-tien
- US lifts sanctions on Iran to allow it to produce, sell and deliver crude oil, petrochemical and petroleum products, https://www.timesofisrael.com/liveblog_entry/us-issues-iran-related-general-license-for-oil-sales-as-required-under-mou/
- US allows Iran to sell oil for 60 days amid talks on final peace deal – TVP World, https://tvpworld.com/93950649/us-suspends-iran-oil-sales-sanctions-for-60-days-amid-peace-talks
- US Authorizes Iranian Oil Sales Amid Talks on Final Peace Deal, https://energynow.ca/2026/06/us-authorizes-iranian-oil-sales-amid-talks-on-final-peace-deal/
- Policy Alert: Urgent Questions for Congress on the Iran MOU – FDD Action, https://www.fddaction.org/policy-alerts/2026/06/22/policy-alert-urgent-questions-for-congress-on-the-iran-mou/
- 米国、イラン産原油販売を60日間容認, https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202606230031
- Treasury Department waives Iranian oil sanctions in a step forward for talks, https://www.washingtonexaminer.com/policy/energy-and-environment/4618697/treasury-department-waives-iran-oil-sanctions-step-forward-talks/
- U.S. Treasury Suspends Restrictions on Iranian Oil and Tankers for 60 Days, https://maritime-executive.com/article/u-s-treasury-suspends-restrictions-on-iranian-oil-and-tankers-for-60-days
- US Treasury issues 60-day license for Iranian oil as part of emerging nuclear framework, https://www.aa.com.tr/en/americas/us-treasury-issues-60-day-license-for-iranian-oil-as-part-of-emerging-nuclear-framework/3974656
- Oil prices drop over 3.5% as US authorizes 60-day general license for Iranian oil production, https://www.aa.com.tr/en/economy/oil-prices-drop-over-35-as-us-authorizes-60-day-general-license-for-iranian-oil-production/3974664
- US grants 60-day waiver on Iranian oil sanctions as part of interim deal to end war | World News, https://www.hindustantimes.com/world-news/us-grants-60-day-waiver-on-iranian-oil-sanctions-as-part-of-interim-deal-to-end-war-101782136145548.html
- Issuance of Iran-related General License | Office of Foreign Assets Control, https://ofac.treasury.gov/recent-actions/20260622_33
- Qatar, Pakistan Statement Says ‘de-confliction Cell’ To Be Created To End War In Lebanon, Keep Strait Open | LIVE BLOG – i24NEWS, https://www.i24news.tv/en/news/international/artc-qatar-pakistan-statement-says-de-confliction-cell-to-be-created-to-end-war-in-lebanon-keep-strait-open-live-blog
- 米国、イラン産原油販売を60日間容認-核査察巡る主張には隔たり(Bloomberg), https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/4b981af566a0e10eaf7be9df5bf0cdbb2878e7ba
- U.S.-Iran Interim Agreement: Implications for the Maritime Industry and Oil Trade | Insights, https://www.hklaw.com/en/insights/publications/2026/06/us-iran-interim-agreement-implications-for-the-maritime-industry
- 米国がイラン原油制裁を60日解除ドル決済許可 – CHOSUNBIZ, https://biz.chosun.com/jp/jp-international/2026/06/23/6OSCFECW2NBC3JLNXUJUUXPAEY/
- イラン産原油の供給増で原油安、インフレも鈍化か – BeInCrypto, https://jp.beincrypto.com/iran-oil-license-crude-inflation-impact/
- 米財務省がイランに60日間の石油販売許可を付与、石油市場の供給懸念が再び緩和、WTI原油先物は3%超下落 – TradingKey, https://www.tradingkey.com/jp/analysis/commodities/oil/261982165-us-iran-switzerland-deal-crude-oil-brent-price-tradingkey


