調査対象期間:2026年9月3日〜9月19日。情報基準日:9月19日。
前号から間隔が空いたため、今回は直近2週間に、その前の3日間を加えた17日間を対象とします。前号の翌日から切れ目なく、企業の公式発表を中心に重要な動きを整理しました。
前号の「光電融合/CPO 重要ニュース:海外/日本 9月2日まで2週間:東証プライム経営者用エグゼクティブサマリー」では、SoitecのPhotonics-SOI長期供給契約、TSMCのCPO生産計画、Quintessentの代替光源、先端実装装置、そして日本企業によるAPNの標準化を取り上げました。中心にあったのは、光電融合の競争が、技術開発だけでなく、供給枠・顧客認定・生産設備を確保する競争へ進んだという変化です。
今回のニュースは、その先に接続します。レーザーの増産投資や光エンジンの量産出荷に加え、**「大量に検査できるか」「組み立てた後も光接続を交換できるか」「複数のメーカーから調達できるか」**という、事業として普及させるための条件が具体化しています。
エグゼクティブサマリー
1.「量産」の中身を、製品と工程ごとに見分ける段階に入った
Siversは3,000万ドルのレーザー工場拡張を発表し、Ayar Labsは追加で1億5,000万ドルを調達しました。一方、NewPhotonicsとTower Semiconductorは、800G・1.6T向けのレーザー集積光エンジンPICについて量産出荷を発表しています。設備投資計画、量産準備、量産出荷が同時に存在しており、CPO市場全体を一つの量産開始年で表現するより、どの部品が、どの顧客用途に向けて、どの段階にあるかを追う必要があります。
2.日本企業の商機が、光部品から「量産を成立させる工程」へ広がっている
アドバンテスト、SENKO、VIAVIは、着脱式の光接続を使うCPOモジュール検査で協業を発表しました。SENKOとPHIXは、組み立て、検査、システムへの組み込み、保守を共通の光接続でつなぐ枠組みを示しています。これらから見えるのは、光半導体そのものを開発する企業に加え、良品を安定して出荷するための検査、接続、位置合わせ、実装を担当する企業にも付加価値が生まれるという構図です。
3.CPOの普及を左右するのは、帯域だけでなく交換性と調達の自由度になる
Open CPX MSAは、最大7.2Tbps/ソケットの接続を対象とするCPO/NPOの仕様を公開しました。光エンジンを演算・通信半導体へ近づける一方で、複数社から調達できるモジュール構成を目指しています。性能向上と、交換・保守・第二ソース確保を両立させる設計が、商用導入の重要な論点になっています。
4.CPOと既存の光トランシーバーは、並行して投資対象になる
Credoは1.6TのZeroFlap光トランシーバーを発表し、通信リンクの状態監視や障害診断を強化しました。古河電工グループのLighteraは、SENKOの高密度光コネクタ技術のライセンスを取得しています。今回の発表群は、光通信の成長をCPOだけに限定せず、光半導体、モジュール、配線、接続、運用監視を含む市場として捉える必要性を示しています。
経営上の結論は、前号の「どの量産サプライチェーンに入るか」を、さらに具体化することです。
自社は、光部品の性能を上げるのか、製造歩留まりを上げるのか、検査時間を短くするのか、それとも故障時の交換と復旧を容易にするのか。顧客のどの費用を減らす会社になるかが、参入戦略の軸になります。
1.主要ニュースの比較
以下の「段階」は、各社の発表内容に基づく区分です。量産出荷の発表であっても、出荷数量、最終顧客、実際の採用システムがすべて公開されているわけではありません。
| 発表日 | 企業・団体 | 今回の進展 | 経営上の着眼点 |
|---|---|---|---|
| 9月3日 | Sivers Semiconductors | InPレーザー工場の拡張投資 | 供給能力の確保と、増産までの時間差 |
| 9月10日 | Ayar Labs | 追加資金調達と量産体制の強化 | 技術開発から商用製品へ移すための資本負担 |
| 9月14日 | アドバンテスト・SENKO・VIAVI | 自動化したCPOモジュール検査の協業 | 検査の再現性、処理能力、接続部の耐久性 |
| 9月15日 | SENKO・Lightera | 高密度光コネクタのライセンス契約 | 複数社調達と接続規格の普及 |
| 9月15日 | Credo | 1.6T光トランシーバーの新製品 | 帯域増加と運用時の信頼性 |
| 9月17日 | NewPhotonics・Tower | レーザー集積PICの量産出荷発表 | 出荷中の製品と次世代計画の区別 |
| 9月17日 | SENKO・PHIX | 着脱式光接続を使う実装・検査の枠組み | 製造から保守までをつなぐ設計 |
| 9月17日 | Open CPX MSA | CPO/NPOの共通仕様公開 | 顧客の選択肢と第二ソース確保 |
各発表の原文タイトルとリンクは、以下の該当箇所に掲載しています。
2.供給能力・資金調達・量産出荷の重要ニュース
① Sivers――InPレーザー不足への対応が、具体的な工場投資になった
9月3日発表/設備投資計画
原文:Sivers Semiconductors
「Sivers Semiconductors Invests USD 30 Million to Expand European Photonics Manufacturing for AI Datacenters」
Siversは、英国グラスゴーのInP製造施設に3,000万ドルを投資すると発表しました。拡張後は、連続発振型のDFBレーザーについて、年間1億個超の生産能力を目指します。拡張は2026年後半に着手し、稼働予定は2027年第4四半期です。内製能力の増強と外部の製造・実装パートナーを組み合わせる方針も示しました。
前号では、光源の供給制約と、代替光源への投資を取り上げました。今回の発表は、それと並行して、既存のInP系光源でも大規模な供給能力の確保が進むことを示しています。
経営上の意味は、顧客の需要が強まる時期と、設備が使える時期の間に、長い時間差があることです。
購入側は、工場拡張の発表を確認するだけでなく、自社が必要とする製品の認定、立ち上げ時期、供給数量まで確認する必要があります。供給側は、能力増強と顧客の採用計画を対応させなければなりません。
年間1億個超は、拡張後の能力に関する会社計画です。その数量の販売が既に契約で確定したという意味ではありません。日本の光源・材料・製造装置企業も、需要予測、設備能力、確定受注を分けて投資を審査することが重要です。
② Ayar Labs――資金の使い道が、製品検証と量産体制の構築へ向かう
9月10日発表/資金調達
Ayar Labsは、追加で1億5,000万ドルを調達し、2026年の資金調達総額が6億5,000万ドルになったと発表しました。資金は製品開発、検証、製造パートナー群の拡充、インド・ベンガルールの設計拠点開設などに使います。同時に、Wiwynnから年内のそれ以前に戦略投資を受けていたことも公表しています。今回の追加調達額と、年間の累計調達額は区別する必要があります。
同社が狙うのは、複数ラックにまたがるAIアクセラレータを、密接に連携させるスケールアップ接続です。発表では、そのためのCPOを高量産へ移す体制づくりを重視しています。
経営上の意味は、優れた光チップができた後にも、顧客製品へ組み込むための開発と資金が必要になることです。
半導体設計、実装、光接続、熱設計、製造検証をつなぎ、顧客ごとの構成に適合させなければ、技術を売上へ変えられません。日本企業が出資や共同開発を検討する場合も、通信性能の実証に加え、顧客の設計採用、製造認定、責任分担、量産開始までの資金を確認する必要があります。
Wiwynnのようなシステム側の企業との関係も、この観点で重要です。部品単体の完成度だけでなく、ラックに組み込み、顧客が利用できる状態にする能力が評価対象になります。
③ NewPhotonicsとTower――レーザー集積光エンジンPICの量産出荷を発表
9月17日発表/一部製品は量産出荷、次世代品は計画段階
原文:Tower Semiconductor
「NewPhotonics® and Tower Semiconductor Begin High-Volume Shipments of Laser-Integrated, Serviceable Optical Engine PICs for Scale-Out and Scale Up AI Interconnect」
NewPhotonicsとTowerは、レーザーを集積した光エンジンPICの量産出荷を発表しました。出荷対象は800G・1.6T向けのNPG102製品です。一方、Open CPX MSAに準拠する6.4T向けNPC505チップセットは、2027年上期の量産出荷を予定しています。製造基盤には、InP素子を異種集積するTowerのPH18DAシリコンフォトニクス技術を使用します。
用途は外付けの光トランシーバーやNPOなどにまたがります。したがって、今回の量産出荷を、6.4T NPO製品やCPOシステム全体の量産完了と一括して表現することはできません。
経営上の意味は、光電融合の事業計画を、方式別だけでなく製品世代別に組み立てる必要があることです。
例えば、現在出荷する800G・1.6T向け製品と、次に立ち上げる6.4T向け製品では、売上が発生する時期も、顧客の認定段階も異なります。材料や装置を供給する企業にとっては、どの製品の、どの製造工程に入るかが重要になります。
前号で扱った生産計画の具体化に続き、今回は光エンジンPICの出荷開始が公表されました。次に確認すべきなのは、出荷数量、顧客の採用範囲、製品構成、収益への寄与です。
3.日本企業の商機――検査、接続、保守まで含めた量産技術
④ アドバンテスト・SENKO・VIAVI――CPOを「繰り返し、速く、正しく測る」ための協業
9月14日発表/量産環境を模した検査プラットフォーム
原文:SENKO
「SENKO, Advantest, and VIAVI Collaborate to Address a Hidden Bottleneck in CPO Module Level Testing」
3社は、アドバンテストの自動テスト環境、SENKOの着脱式光接続、VIAVIの高速光テスト技術を組み合わせる協業を発表しました。対象には、着脱式コネクタを通した200Gbps/レーンの信号のエラー率測定が含まれます。量産を模した自動検査環境を構築し、ECOCでのデモを予定しています。
注目点は、単に高速信号を一度通すことではありません。多くの製品を測るため、接続と切り離しを繰り返しても、測定結果が安定する必要があります。SENKOは、そのための高耐久な検査用接続部と、複数の光エンジンを並行して検査する構成を示しています。
経営上の意味は、検査工程そのものが、出荷能力と製品原価を左右することです。
製造装置を増やしても、検査が追い付かなければ、出荷できる良品は増えません。また、測定が不安定で再検査が増えると、検査時間だけでなく、仕掛品と工程管理の負担も増えます。
日本の装置・精密部品企業にとっては、テスター本体だけでなく、検査用接続部、自動搬送、清掃、校正、測定データの管理までを事業として見る余地があります。
本件は量産に向けた検査手法の検証です。個別顧客の量産ラインへの全面導入や、受注金額までが公表されたわけではありません。
⑤ SENKOとPHIX――製造時と保守時の光接続を、共通の設計でつなぐ
9月17日発表/実装・検査・保守をつなぐ協業
SENKOとPHIXは、光マルチチップモジュールの組み立て、パッケージ段階での検査、最終システムへの組み込み、将来の保守に共通して利用する光接続の枠組みを発表しました。特徴は、ファイバーを恒久的に固定する方式ではなく、着脱できる光接続を使う点です。
この取り組みは、前項の自動検査とつながっています。製造時の検査を容易にする接続設計が、その後の検証や保守にも使えるようになれば、製品のライフサイクル全体でメリットを得られる可能性があります。
経営上の意味は、「何を交換できる製品にするか」を、設計の初期に決める必要があることです。
光部品の一部に問題が起きた際、接続部だけを扱えるのか、モジュール交換が必要なのか、さらに大きな装置を停止しなければならないのかで、顧客の保守費用は変わります。
ただし、着脱できるファイバー接続と、稼働中に光エンジンを交換できることは別です。今回の発表も将来の保守性への道筋を示すものであり、実際の交換対象、作業条件、停止範囲を製品ごとに確認する必要があります。
⑥ SENKOとLightera――古河電工グループが高密度光接続の供給網へ
9月15日発表/技術ライセンス契約
SENKOは、古河電工グループのLighteraと、SN-MT光コネクタ技術のライセンス契約を締結したと発表しました。Lighteraが関連製品を製造・供給できるようにすることで、高密度の光接続を複数の供給者から調達できる体制を広げます。
これはAIデータセンターの配線・接続に関するニュースであり、特定のCPOチップへの採用発表とは区別して読むべきです。それでも、光接続の数と密度が増える市場で、日本企業がどこに事業を広げているかを示す具体例です。
経営上の意味は、自社製品だけで市場を囲い込む方法と、他社にも製造を認めて採用範囲を広げる方法を、比較する必要があることです。
顧客にとって、第二ソースを確保できることは導入判断の材料になります。技術を保有する企業にとっても、複数社が供給できることで、接続方式そのものの採用が広がる可能性があります。
日本の部品メーカーが見るべきなのは、特許の有無に加え、ライセンス先の品質管理、互換性、顧客認定、供給能力をどう組み合わせるかです。今回の契約では、ロイヤルティーや販売数量は公表されていません。
4.共通仕様と既存製品の進化――CPO市場は一つの方式に収束していない
⑦ Open CPX MSA――最大7.2Tの共通仕様が、調達と交換の選択肢を広げる
9月17日発表/仕様公開
原文:Open CPX MSA、Business Wire掲載
「Open CPX MSA Group Releases Specification for High Density, Pluggable CPO/NPO」
Open CPX MSAは、CPO/NPO向けのコネクタと光モジュールの仕様を公開しました。200Gbps/レーンを基礎に、6.4T・7.2Tの接続、内部・外部の両方のレーザー構成、液冷を意識した熱仕様、モジュール管理を対象にしています。狙いは、特定ベンダー専用の構成から、複数社が供給できる共通のモジュール形式へ広げることです。
ここでいうCPOは光エンジンを主要半導体と同じパッケージに近接集積する考え方、NPOはその近傍に配置する考え方です。光学部分を近づける設計と、どこを着脱式にするかという設計を、組み合わせて検討する必要があります。
前号のAPN標準化と今回のOpen CPXは、対象とする階層が異なります。前者はネットワークの設計・接続、後者は装置内部のモジュールや接続形式です。一方で、共通する経営上の論点は、顧客が複数社から調達できる市場をどう形成するかにあります。
日本企業にとって重要なのは、仕様が固まった後に部品を売り込むだけでなく、仕様づくりと評価段階へ早く入ることです。
接続形式、冷却との干渉、実装可能な寸法、検査方法などが決まる段階で関与できれば、自社技術を採用しやすい条件へ反映できる可能性があります。
なお、これは業界のMSAによる仕様です。仕様公開と、全参加企業の製品間で互換性が実証されたことは別であり、採用時には実機の相互接続試験と供給条件を確認する必要があります。
⑧ Credo――1.6T光トランシーバーでも、競争の焦点は信頼性へ移る
9月15日発表/新製品
Credoは、224G/レーンのDSP、Kfir200シリコンフォトニクスPIC、PILOT診断・分析基盤を組み合わせる1.6T光トランシーバーを発表しました。通信リンクの状態を継続的に把握し、光ファイバーの問題や、接続・切断が繰り返されるリンクフラップを検知・診断する機能を重視しています。
経営上の意味は、光接続の評価軸を、通信速度と消費電力だけに限定しないことです。
リンクに問題が生じた際、原因を把握するまでに時間がかかれば、装置の交換や再試験が増えます。状態が分かり、問題の箇所を切り分けられることには、機器を利用する側の運用費を下げる価値があります。
本件はCPO製品の発表ではありません。しかし、CPOが目指す高密度化と並行して、光トランシーバー側でも高速化と運用改善が進んでいることは、投資判断に重要です。
日本企業は、CPO向けの次世代開発と、光トランシーバー・配線向けの事業を別々に評価すべきです。顧客の用途と更新時期が異なるため、一方の成長を根拠に、もう一方への投資を機械的に止めるべきではありません。
5.前号から何が変わったか――「供給網への参入」を「顧客の原価を下げる提案」へ
今回の発表を前号へ接続すると、事業機会は次のように具体化します。
| 前号で重視した論点 | 今回、具体化したこと | 日本企業が提案する価値 |
|---|---|---|
| 光源・基板の供給能力 | レーザー工場拡張、量産移行の資金投入 | 必要な時期に、認定済みの製品を供給する |
| 先端実装の重要性 | レーザー集積PICの出荷、着脱式の光実装 | 組み立ての再現性と良品率を高める |
| 検査工程への商機 | CPOモジュールの自動テスト | 検査時間と再検査を減らす |
| 複数社調達の必要性 | Open CPX仕様、コネクタのライセンス | 第二ソースと互換性を確保する |
| 導入後の運用 | 保守を意識した接続、リンク診断 | 障害の切り分けと復旧を早める |
この表は、上記の発表を踏まえた本稿の事業分析です。特定の日本企業への受注を予測するものではありません。
装置・検査企業:処理能力を「良品出荷数」へ結び付ける
アドバンテストを含む検査協業が示したのは、電気的な試験と光接続を一体で自動化する必要性です。ここでは、測定器の最高性能だけでなく、着脱、位置合わせ、清掃、再測定まで含めた工程設計が重要になります。
顧客への提案では、検査1回当たりの時間に加え、再検査率、接続部の寿命、設備停止時間まで示すと、導入効果を経営判断に結び付けやすくなります。
材料・精密実装企業:顧客の製造条件と一緒に評価する
着脱式光接続やレーザー集積PICの発表は、光素子だけでなく、その素子をどのように組み立て、検査し、利用可能な状態にするかが重要であることを示しています。
材料や精密部品の企業にとっては、単体の性能表を提出するだけでなく、顧客の実装・温度・検査条件の下で評価することが重要です。「この材料を使えば性能が上がる」から、「この工程条件で良品を安定して作れる」へ提案を進める必要があります。
光接続・通信機器企業:販売時点から保守と第二ソースを組み込む
LighteraへのライセンスとOpen CPX仕様は、異なる製品階層で、供給者の選択肢を広げようとする動きです。
利用企業は、初期価格と通信性能に加え、代替品への切り替え条件、予備品、交換作業、診断手段を比較すべきです。供給企業は、その運用まで説明できることで、単価だけの競争から距離を取れる可能性があります。
6.経営会議で決めるべき三つのこと
第一に、「量産」を一つのラベルとして使わない
社内の案件表は、技術実証、顧客評価、製造認定、量産出荷、売上拡大を分けるべきです。
さらに、同じ企業でも製品世代によって段階が違います。今回のNewPhotonicsのように、出荷中の製品と翌年の量産予定品が同じ発表に含まれる場合、別の案件として管理する必要があります。
研究開発費、試作設備、本格量産設備は、それぞれ異なる条件で決裁します。市場の成長予測だけで設備投資へ進まず、顧客認定と購入条件がどこまで具体化したかを確認することが重要です。
第二に、単価ではなく「良品出荷当たりの原価」と「稼働を維持する総費用」を比較する
供給側では、部材費だけでなく、実装、検査、再加工、廃棄、立ち上げ期間を含めた原価を把握します。
利用側では、機器代、電力、予備品、交換、診断、停止による損失を含めて比較します。
例えば、通信時の消費電力が低くても、故障時の交換範囲が大きければ、総費用の評価は変わります。逆に、部品価格が高くても、検査時間や復旧時間を短縮できれば、顧客全体では採算が改善する可能性があります。
これは本稿の評価枠組みです。比較に使う数値は、対象システムの実測値と契約条件で設定すべきです。
第三に、共同開発の初期に、仕様・品質・費用負担を決める
CPO関連の共同開発では、光半導体、実装、接続、検査、冷却の担当企業が分かれる場合があります。問題が起きた際に、誰が原因を特定し、再設計や再試験の費用を負担するかを、先に整理する必要があります。
特に、自社が専用設備を導入する案件では、最低購入条件、仕様変更、中止時の負担、他顧客への設備転用を確認します。
成長市場への参入と、採算の取れる契約を結ぶことは別の経営課題です。両方を同時に進める必要があります。
7.次の確認点――ECOCで「展示」から何が分かるか
今回の対象期間の直後には、マラガでECOC Exhibitionが9月21〜23日に開催されます。公式案内は「ECOC Exhibition 2026」です。9月19日を基準とする本稿では、そこで予定されるデモを実施済みの成果として扱っていません。
次号では、展示された最高速度より、実用化の条件を確認することが重要です。
アドバンテスト・SENKO・VIAVIの検査では、繰り返し接続した際の測定安定性と自動化の範囲。Open CPX関連では、異なる企業の部品を組み合わせた実機評価と、サンプル供給条件。レーザー集積PICでは、出荷中の製品の採用範囲と、次世代製品の認定進捗が確認対象になります。
展示会の発表を、そのまま大量受注や顧客の本番導入へ置き換えず、何が動作し、何が供給可能で、どこから先が予定なのかを分けて追う必要があります。
まとめ――光電融合の競争は「作れる」から「出荷し、使い続けられる」へ
前号は、光源、基板、先端実装を含む供給網の確保が、CPOの競争力を左右し始めたことを取り上げました。
今回、その議論は一段具体化しました。増産投資と資金調達が進み、光エンジンPICの量産出荷が公表される一方で、自動検査、着脱式の光接続、共通仕様、運用診断の整備が進んでいます。
これらを総合すると、日本企業が狙うべき参入位置は、さらに明確になります。
「光を高速に通す部品」を供給するだけでなく、「良品を安定して作り、顧客が長く使える状態」を実現する工程で、不可欠な存在になることです。
経営会議で問うべきことも、前号から一歩進みます。
どの顧客の、どの製品世代に入り、製造原価・検査時間・供給リスク・復旧時間のどれを減らして、継続的な利益を得るのか。
この問いまで具体化できれば、CPO、NPO、光トランシーバーの採用構成が変わっても、自社の事業価値を見失いにくくなります。



