前回の記事では、「ググる」が終焉し、「構造をAIで把握する」時代が始まっていることを書きました。
従来の検索は、情報を一つずつ見つけていく作業でした。しかしAIは違います。AIは市場の「構造」を一度に俯瞰し、その中から意味のある情報を抽出できます。
この変化は、日本の製造業の営業のやり方を大きく変える可能性があります。
AI産業は3つの巨大市場からできている
現在、世界では3つの巨大産業が同時に立ち上がっています。
1つ目は AIデータセンター。
生成AIの普及により、AI専用のデータセンター投資が急拡大しています。AIデータセンター市場は2025年の約214億ドルから2026年には277億ドルへと急成長すると予測されています。
2つ目は 次世代半導体。
AI半導体需要の爆発によって、2025年の世界半導体市場は約7930億ドルに達すると見込まれています。
3つ目は フィジカルAI(ロボット)です。
ヒューマノイドロボット市場は2026年に約62億ドル規模から2034年には1650億ドル規模まで拡大すると予測されています。
つまり今、世界では
AI半導体
↓
AIサーバー
↓
AIデータセンター
↓
フィジカルAI(ロボット)
という巨大な産業チェーンが形成されつつあります。
日本企業は「部品」で強い
この産業構造の中で、日本企業が強いのはどこでしょうか。
答えは 部品・素材・装置です。
例えば
- 電子部品
- センサー
- モーター
- ケーブル
- 半導体材料
といった領域です。
AI産業は華やかなソフトウェア企業だけで成立しているわけではありません。むしろ、膨大な数の部品・材料・電機装置が必要になります。
つまり、日本の製造業にとっては巨大なビジネス機会が広がっています。
問題は 営業の方法です。
日本製造業の営業の弱点
多くの日本企業は、優れた技術を持っています。しかし、新市場への営業は得意ではありません。
よくある営業は
- 展示会
- 商社経由
- 既存顧客
といったルートです。
しかしAI産業は新しい産業です。従来の顧客リストには載っていません。
そこで必要になるのが
OSINT(Open Source Intelligence。ネット上の公開情報をAIで広範囲にかつ深く探索し分析する調査手法)
です。
AI OSINT営業とは何か
AI OSINT営業とは、公開情報をAIで分析し、営業ターゲットを発見する方法です。
基本構造はこうなります。
市場
↓
サプライチェーン
↓
企業
↓
部署
↓
担当者
AIは、この構造を一度に解析できます。
例えばAIデータセンターの場合、営業ターゲットは
- データセンター建設企業
- サーバーメーカー
- 電源設備企業
- 冷却設備企業
- (台湾の)AIサーバーラック製造業
などです。
これらは
- 投資発表
- 建設許可
- 採用情報
- 特許
- 技術論文
などから特定できます。
つまり、営業リストは「作れる」のです。
AIエージェント営業の時代
ここで重要なのは、AIは単なる検索ツールではないということです。
AIは
- 市場構造を理解し
- サプライチェーンを解析し
- 営業ターゲットを抽出する
ことができます。
つまり、営業そのものが
AIエージェント化
できます。
例えば
- AIデータセンター営業AIエージェント
- 半導体材料営業AIエージェント
- ロボット部品営業AIエージェント
といったものです。
日本製造業の営業革命
日本の製造業は技術力では世界トップクラスです。しかし、営業はまだ人海戦術のままです。
AI時代の営業は
「顧客を探す」仕事ではありません。
AIが顧客を見つけるからです。
人間は
- 技術提案
- 信頼構築
- 契約交渉
に集中できます。
構造を把握する時代
前回の記事で書いた通り、「ググる」時代は終わりました。
これからは
構造をAIで把握する時代
です。
AI産業の構造を理解し、そのサプライチェーンの中から営業ターゲットを見つける。
これが
AI OSINT営業
です。
そしてこれは、日本の製造業にとって、新しい営業革命になるかもしれません。


