トヨタの競争優位を米国市場のテスラ、欧州市場のVW、中国市場のBYDと徹底比較!

EXECUTIVE
8/19 (水) 10:00-
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【防衛費拡大局面で問われる技術獲得戦略】

ウクライナ「AI戦争OS」の実像と日本企業の防衛テックM&A戦略
〜自律航法・電子戦・迎撃ドローンから読み解く出資・買収・提携候補20社〜

【単なる戦況分析ではなく、現代戦の本質と事業機会を捉える】

現代戦の中核は「機体」から「AI戦争OS」へと完全移行しました。パランティアの作戦管制AI「PRISMA」やアンドゥリル「Lattice AI」の実像を読み解くとともに、日本企業が注目すべきウクライナの技術的優良企業をカテゴリー別に整理。出資・買収・JV・技術提携の現実的なロードマップを提示します。

■ 主要プログラムと実務ポイント:
  • 第1部:ドローン戦争の主役は「AI戦争OS」である(AI、衛星画像、C2、エッジコンピューティングの統合)
  • 第2部:作戦管制AI「PRISMA」の数学モデル(敵防空網を避ける数千本の自律飛行ルートを秒単位でシミュレーション)
  • 第3部:GPSを失っても飛ぶ自律航法(Visual Navigation、地形照合、週単位で更新されるソフトウェア定義型兵器)
  • 第4部:混成スウォームと防空コスト革命(デコイドローンによる飽和攻撃、1,000ドル台のAI誘導迎撃ドローン)
  • 第5部:ウクライナ防衛テック企業・買収候補(固定翼ISR、自律航法、電子戦、UGVなど優秀な20社と提携スキームの使い分け)

【対象】重工、電機、通信、半導体、クラウド、サイバー、ドローン、ロボティクス関連の経営企画・新規事業・技術者、VC・CVC・金融機関・商社の方


講師:今泉 大輔(株式会社インフラコモンズ 代表 / AI×経営ストラテジスト)

主催:SSK 新社会システム総合研究所

1. エグゼクティブサマリー

2026年3月期決算のハイライトと3市場における総合評価

トヨタ自動車の2026年3月期(2025年度)通期連結決算は、日本企業として初となる営業収益(売上高)50兆6,849億円(前期比5.5%増)を記録し、5年連続で過去最高を更新した1。一方で、本業の稼ぐ力を示す営業利益は3兆7,662億円(前期比21.5%減)、当期純利益は3兆8,480億円(前期比19.2%減)となり、過去最高の売上高と減益という対照的な結果となった1。この利益圧迫の主因は、米国における関税導入に伴う1兆3,800億円規模の減益インパクトおよびTNGA(Toyota New Global Architecture)移行や電動化に伴う先行投資コストである2。しかし、ハイブリッド車(HEV)を中心とする電動車販売が年間500万台を突破したことや、価格改定効果およびバリューチェーン収益の拡大が下支えとなり、外部ショックの中でも強固な収益基盤の耐性を示した2

主要3大市場におけるトヨタの競争ポジションおよび総合評価は以下の通りである。

  • 米国市場(vs Tesla): 政府補助金の縮小・撤廃に伴い純粋電気自動車(BEV)市場の成長が急失速(2026年上半期のBEV販売は前年同期比24.7%減)する一方、HEV需要が前年同期比19.4%増と伸長した6トヨタは強固なHEVポートフォリオを活用して新車販売首位を獲得し、BEV特化型のTeslaが直面する需要減速と価格競争から一線を画している6
  • 欧州市場(vs Volkswagen Group): 厳しいCO2排出規制やEuro 7規制下において、全方位(マルチパスクア)戦略が機能している。過度なBEV投資へ早期傾斜したVolkswagen(VW)が需要減速期に構造的固定費の重荷を背負ったのに対し、トヨタは投資効率を維持しながらHEV/PHEVにより高いフリートCO2適合力を発揮している10
  • 中国市場(vs BYD): 新エネルギー車(NEV)の熾烈な価格競争により、市場覇者であるBYDの通期純利益が19%減、2026年第1四半期純利益が55.4%減と急速に収益性を悪化させた11トヨタは合弁会社(広汽トヨタ、一汽トヨタ)の構造改革と原価改善を進め、無謀な価格戦に巻き込まれることなく持分法投資損益および現地利益の改善を達成している3

投資スタンスへの示唆

中長期投資家および機関投資家に対する投資スタンスとしては、「中長期でのポートフォリオ中核保有(Overweight / Core Hold)」を提示する。2027年3月期の業績予想では地政学リスクや関税の継続影響から通期営業利益見通しを3.0兆円へと下方修正しているものの2、株主還元方針は極めて力強い。年間配当は2026年3月期の95円(前年比5円増配)に続き、2027年3月期も100円(前年比5円増配)と安定増配方針を堅持している2。さらに2026年3月期には年間総額4.9兆円規模の株主還元を実施しており、機動的な自社株買いが株価の強力な下値支持となる18BEVシフトの過渡期における実質的な現金創出力と資本効率の維持は、グローバルOEMの中で際立った強みである4

2. 米国市場分析(トヨタ vs Tesla)

SWOT分析(トヨタ視点)

  • 強み(Strengths) トヨタは米国市場において圧倒的なHEV技術とラインナップを誇り、BEV需要の減速期においてユーザーの航続距離不安や充電インフラ不足を補う主力製品群として高い市場シェアを確保している6。また、全米に広がる強固な販売・サービス網を通じて中古車、自動車金融、保守点検等のバリューチェーン収益を安定的に獲得している2第1世代BEVの不振から脱却し、改良モデル「bZ」の販売増(2026年上半期に全米4位のBEVモデルへ浮上)に伴い、販売店レベルでの採算性が黒字化へ転じている点も挙げられる9
  • 弱み(Weaknesses) 日本等からの完成車輸出比率が存在するため、米国貿易政策や関税改定による直接的な利益押し下げ影響を受けやすい(2026年3月期で1.38兆円の減益要因)2さらに、人気HEVモデルへの需要集中に対して生産・供給追いつかず、一部車種で数ヶ月の納車待ちが発生し機会損失を生んでいる点が課題である20
  • 機会(Opportunities) 米国における連邦税額控除($7,500)の撤廃や政策変更に伴う「EV疲れ」が、実用性と経済性に優れたHEVおよびPHEVへの需要回帰を強力に後押ししている6。また、BEVの本格普及期を見据えた全固体電池の商業化開発において技術的リードを保持していることも中長期的な機会である6
  • 脅威(Threats) TeslaがModel Yの追加バリエーション(Model Y L)や廉価版BEVを市場投入し、価格改定を通じてHEV購買層を食い荒らすリスクが存在する9また、自動運転技術(FSD)や車載OS領域におけるソフトウェアエコシステム構築において、走行データの蓄積スピードで後塵を仰ぐ懸念が残る。

HEV需要持続性とBEVシフトのトレードオフ評価

米国自動車市場における2026年上半期の販売動向は、電動化シフトの過渡期における現実的な構造変化を示している。政府補助金の縮小・撤廃に伴い、BEVの総販売台数は46万台(前年同期比24.7%減)へと失速した6。対照的に、外部充電を必要としないHEVは121万3,000台(同19.4%増)に達し、新車市場全体の成長を牽引する主動力となった6

このトレードオフにおいて、トヨタのマルチパスクア戦略は最適なポジショニングとして機能している。Teslaが米国BEV市場内で52.3%のシェアを維持しつつも販売台数を前年同期比11%減(24万2,100台)へと落ち込ませたのに対し9、トヨタは米国販売の55%を電動車(主にHEV)が占める構造を作り上げ、高収益を維持している20BEV専業メーカーが設備稼働率低下と値引き合戦により粗利益率を削減させる中、トヨタはHEVで生み出したキャッシュフローをSDV開発や次世代電池生産ラインへ投資する持続可能な循環構造を確立している。

競争優位性比較マトリクス(米国市場)

評価項目トヨタ自動車Tesla比較分析・インサイト
収益性高(HEVの高粗利+バリューチェーン収益)2中(価格改定に伴う粗利益率の押し下げ圧力が継続)トヨタは関税の逆風を受けつつも、HEVのプレミアム価格維持により営業利益を防御2。Teslaは単一車両価格削減の影響が直接利益に跳ね返る構造。
ブランド力信頼性・耐久性・リセールバリューで首位先端性・環境先進性・テクノロジーで高い支持実用性を重視する全米のマスメディア層においてはトヨタのブランド信頼性が強い。アーリーアダプター層ではTeslaが優位。
供給網北米現地生産とグローバルサプライチェーンの融合単一工場規模のスケールメリットと部品内製化トヨタは関税リスク低減のための北米現地生産移管を進める段階3。Teslaは現地調達率が高いがモデル数が限定的。
テクノロジー次世代全固体電池、マルチパワートレイン技術6FSD(自動運転)、OTA、車載OS、統合ECUソフトウェアおよび自動運転(FSD)データではTeslaが優位だが、パワートレインの耐久性と多様性ではトヨタが圧倒。

3. 欧州市場分析(トヨタ vs Volkswagen)

SWOT分析(トヨタ視点)

  • 強み(Strengths) トヨタは、過大なBEV専用設備投資を行うことなく、高効率な第5世代HEVおよびPHEVを活用して欧州CO2フリート排出目標を低コストで達成できる収益構造を構築している10また、欧州市場におけるHEVの実用燃費と高い耐久性に対する顧客評価が定着しており、中古車残価率の高さが新車販売の強みとなっている。
  • 弱み(Weaknesses)
    VWが欧州域内に重厚なBEV生産拠点を保持しているのに対し、トヨタの欧州におけるBEV現地生産規模は限定的であり、一部モデルを輸入に依存している点が挙げられる。
  • 機会(Opportunities) ドイツをはじめとする主要国でのBEV購入インセンティブ廃止・縮小に伴い、欧州消費者が過剰な購入コストを避け実用的なHEVやPHEVへ回帰している7。また、Euro 7排出ガス規制の適応範囲や時間軸の見直しが進んだことで、内燃機関を併用する高効率ハイブリッド技術のライフサイクルが延長された10
  • 脅威(Threats) 欧州域内メーカーの保護を目的とした環境規制やローカルコンテンツ要件の厳格化リスクが存在する。また、ハンガリー等に現地工場を新設し欧州へ本格参入を図るBYDをはじめとする中国勢の価格圧迫が脅威となる11

欧州CO2規制およびユーロ7等への対応力比較

欧州自動車市場では、CO2排出量削減目標の段階的強化およびEuro 7規制への即応が経営の至上命令となっている。この規制対応において、トヨタとVWの業績の明暗を分けたのは戦略の時間軸と柔軟性である10

VWは初期段階でBEV専用プラットフォーム(MEB等)へ大量の資本を集中投資し、固定費を急速に肥大化させた10。しかし、補助金撤廃に伴い欧州のBEV需要が急失速した結果、VWは工場の稼働率低下と設備償却負担という二重苦に直面している7これに対しトヨタは、高効率HEVを主力に据えつつ段階的にBEVを投入するアプローチを採用した10。HEVの燃費性能によってフリート全体平均のCO2基準をクリアすることで罰金リスクを回避しつつ、膨大な専用設備投資の固定化を免れた10結果として、過渡期におけるROIC(投下資本利益率)の低下を防ぎ、安定した収益性を維持することに成功している10

競争優位性比較マトリクス(欧州市場)

評価項目トヨタ自動車Volkswagen Group比較分析・インサイト
パワートレイン構成HEV・PHEV主力を軸にBEVを段階拡大10BEVシフト推進からHEV/PHEV再重視へ方針転換10トヨタは需要変化に柔軟に対応可能なラインナップ構造を保持。VWはBEV需要減速による固定費負担が重荷10
現地生産効率既存工場の高稼働率維持とフレキシブル生産欧州拠点過多とBEV専用ラインの低稼働率課題トヨタは需要に合わせた混流生産で高い設備稼働率を達成。VWは欧州域内人件費と工場維持費の構造改革が急務。
規制適合コスト低(HEVの燃費性能でCO2基準を低コストクリア)高(BEV比率目標未達時の罰金リスクと開発費)トヨタは過度な補填コストをかけずに法規制に適合。VWは規制適合のために利益率の低いBEV販売を強いる必要性。
資本効率(ROIC)安定(過大な設備投資を回避しROICを維持)19低下(BEVプラットフォーム投資の回収遅延)トヨタの資産回転率が高水準で推移するのに対し、VWは投下資本の固定化が利益率を圧迫。

4. 中国市場分析(トヨタ vs BYD)

SWOT分析(トヨタ視点)

  • 強み(Strengths) トヨタは広汽集団および一汽汽車との合弁会社において徹底した原価低減と固定費削減を断行し、過酷な市場環境下でも黒字体制を堅持している3。また、長年培った品質信頼性とリセールバリューに対する高い評価が、価格戦の中でも一定の固定客を引きつけている。
  • 弱み(Weaknesses) 中国の先進的な消費者が重視する車載スマートコクピット、OSの操作性、およびインフォテインメント領域の進化スピードにおいて、現地ローカルメーカーに対する遅れが目立つ13
  • 機会(Opportunities) 採算を無視した価格競争を続ける新興NEVメーカーの淘汰が進むことで、健全な財務基盤と供給網を持つトヨタの残存者利益が拡大する局面が期待される11。また、自動運転やコネクテッド領域における中国現地IT大手との提携深化による商品力補強も機会となる。
  • 脅威(Threats) BYDをはじめとする有力メーカーによる継続的な価格値下げ(BYDの1台あたり平均販売価格は14.1万元へ下落)が新車市場全体の収益性を破壊している14さらに、消費者の自国ブランド選好(「国潮」の定着)に伴い、外資系ブランド全体の市場シェアが圧迫されている13

NEV価格競争下での利益率耐性

中国自動車市場は、業界再編を伴う極めて激しい価格競争の局面にある。最大手であるBYDの業績データは、市場の過熱による収益性の圧迫を裏付けている。BYDの2025年通期営業収益は8,039億7,000万元(前年比3.46%増)と拡大したものの、当期純利益は326億2,000万元(同19.0%減)へと落ち込み、売上高粗利益率は17.74%に縮小した11さらに2026年第1四半期には、純利益が前年同期比55.4%減の40億8,500万元へと半減しており、バッテリー内製化(第2世代Blade Battery等)による徹底した垂直統合モデルを擁する同社でさえ、売上規模の拡大と利益率の維持を両立できない状態に陥っている12

この環境下において、トヨタは「無謀な値引き合戦によるシェア追いを避け、徹底的な構造改革による現地利益率の防御」という戦略をとっている3合弁事業の生産ライン集約、部品調達の見直し、現地固定費の大幅削減を推進した結果、トヨタの中国事業における営業利益および持分法投資損益は前年同期比で増益を確保した3。台数成長を最優先して粗利益を犠牲にするBYDに対し、トヨタは収益体質を維持しつつ過渡期を乗り切る高い耐性を実証している。

競争優位性比較マトリクス(中国市場)

評価項目トヨタ自動車BYD比較分析・インサイト
原価低減力徹底した固定費削減と合弁会社の事業構造改革3圧倒的な垂直統合(電池・半導体・駆動部品の内製)13BYDは部品内製によるスケールメリットで世界屈指の原価低減力を誇るが、完成車値引き幅がそれを上回り利益圧迫11
電池・内製化外部調達(CATL等)と現地合弁調達の組み合わせ完全に内製化(Blade Battery 2.0、急速充電技術)11BYDが技術・コストともに先行。トヨタは全固体電池の実用化までコスト面で耐え凌ぐ構造6
車載テック・SDV現地IT大手(Tencent, Baidu等)との協業で補強自社開発インフォテインメント、自動駐車、ロボティクス11ソフトウェアおよびスマートコクピットの体験設計ではBYDおよび中国ローカル勢が圧倒的優位13
現地パートナー一汽汽車・広汽集団との長年の強古な合弁基盤3単独展開(海外展開では現地販売網開拓を加速)13トヨタは現地パートナーとのリスク分散と持分法利益の回収が強み3。BYDは意思決定速度が極めて速い。

5. 投資家向けインプリケーション

機関投資家向け目線:中期的なキャピタルアロケーションとROIC評価

機関投資家がセクター配分を決定する上で最も重要な指標は、電動化過渡期におけるキャピタルアロケーションの規律とROIC(投下資本利益率)の構造的優位性である。競合OEMが需要減速期にBEV専用プラットフォームの減損損失や過剰設備の固定費化(VWの欧州拠点の低稼働、BYDの純利益暴落)に苦しむ中10、トヨタの全方位戦略は明確な資本効率上の優位性をもたらしている。

トヨタの収益循環メカニズムは、高い利益率を誇るHEVおよびバリューチェーン事業が強固な営業キャッシュフローを継続的に創出し、その資金が規律ある資本配分を通じて最適配分される構造となっている。創出されたキャッシュは、全固体電池や車載OS(Arene)、SDV開発といった次世代成長分野への研究開発費・設備投資へと振り向けられると同時に2、自社株買いや増配といった株主還元へバランス良く配分されている2

キャピタルアロケーションの構成要素トヨタの実行施策と財務インパクト
営業キャッシュフロー創出HEV販売(年間500万台超)とバリューチェーン収益による強固な現金創出2
成長投資(R&D / 設備投資)設備投資・研究開発費を維持し、全固体電池やSDVプラットフォームへ集中投資2
投下資本効率(ROIC/ROE)過大なBEV専用設備投資を回避し、ROE 10%〜11%台を維持4
株主還元年間4.9兆円規模の還元枠を運用し、自己資本利益率の向上へ寄与18

このアロケーション戦略により、トヨタのROEは10%〜11%台の高水準で推移しており4、想定される株主資本コスト(WACC 6〜7%程度)を安定的に上回るスプレッドを創出している。過度なBEV一極集中投資による資産膨張を回避しているため、市場環境の不確実性が高まる局面でもROICが構造的に低下しにくい防衛的ポートフォリオが完成している。

個人投資家向け目線:株主還元の継続性とダウンサイドリスク

個人投資家にとって、トヨタの株式保有価値は高いインカムゲインの安定性と、自社株買いによる株価の下値支持力にある。

期別1株当たり年間配当前年比増減備考・還元トピックス
2025年3月期(実績)90円安定的な還元基盤を確立
2026年3月期(実績)95円+5円増配1総株主還元額4.9兆円を達成18
2027年3月期(予想)100円+5円増配2営業利益3.0兆円見通し下でも増配堅持2

業績面で2026年3月期に営業減益となり、2027年3月期も通期営業利益3.0兆円への下方修正を発表しているものの2、配当施策においては「累進的配当」の姿勢を明確にしており、安定増配方針を堅持している2。さらに、2026年3月期に実施した配当と自社株買いを合わせた総株主還元額は4.9兆円に達しており18、2027年3月期についても「上限を定めない機動的な自社株買い方針」を継続している18。この規模の還元スタンスは、株式市場全体が下落する局面においても強力な株価下支え効果を発揮する。

一方で、投資家が認識しておくべき主なダウンサイドリスクは以下の3点に集約される。第一に、米国における通商政策および関税改定リスクであり、2026年3月期に1.38兆円の減益要因となったように短期的な収益圧迫の最大要因であり続ける2。第二に、中東情勢の緊迫化等に伴う物流コストや原材料費の高騰であり、2027年3月期においても6,700億円規模の業績下振れ要因として試算されている3。第三に、通期前提レート(1ドル=150円、1ユーロ=180円)から急速な円高方向への為替シフトが生じた場合における営業利益の目減りリスクである2

しかしながら、これらの外部リスクを考慮しても、トヨタが保持するHEV主力の現金創出能力と堅固なバランスシート、および株主優先の資本配分姿勢は、グローバル自動車セクターの中で極めて高い投資魅力を示している2

引用文献

  1. 【決算解説】トヨタ自動車(7203)2026年3月期:史上最高売上50兆円の裏で起きた「利益崩壊」の正体|kabuya66 – note, https://note.com/kabuya66/n/n84081b36abfd
  2. 2026年3月期 決算説明会 – トヨタ自動車, https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2026_4q_presentation_2_jp.pdf
  3. 【トヨタ自動車 2026年3月期決算説明会】営業利益は3.8兆円 – BigGo ファイナンス, https://finance.biggo.jp/news/US_TM_2026-05-08
  4. 2026年5月8日 トヨタ自動車株式会社, https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260508/20260508519105.pdf
  5. トヨタ 動 株式会社 2026年3 期 決算説明会 – YouTube, https://www.youtube.com/watch?v=wO0jLRLl7IA
  6. US EV Market Craters in H1 2026: BEV Sales Plunge 24.7%, Toyota Rides Hybrid Wave to the Top – BigGo Finance, https://finance.biggo.com/news/00a0b329-c361-4afd-9878-096434ec6fa6
  7. Electric Vehicle Sales Review Q1-2026 – PwC, https://www.pwc.com/hu/hu/kiadvanyok/assets/pdf/strategyand-electric-vehicle-sales-review-q1-2026.pdf
  8. Trends in electric cars – Global EV Outlook 2026 – Analysis – IEA, https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026/trends-in-electric-cars
  9. Toyota now ranks among the top 5 EV sellers in the US – Electrek, https://electrek.co/2026/07/14/toyota-ranks-top-5-ev-sellers-us/
  10. トヨタvsフォルクスワーゲン――販売差は180万台! HV・EV・ソフト開発で世界市場の頂点を握るのはどちらか? | Merkmal(メルクマール) – (2), https://merkmal-biz.jp/post/105967/2
  11. BYD’s 2025 net profit drops 19% as domestic price war bites – CnEVPost, https://cnevpost.com/2026/03/27/byd-2025-full-year-results/
  12. BYD expects its profitability to fall in early 2026 following a significant decline in 2025, https://www.ecomotorsnews.com/en/news/byd-expects-its-profitability-to-fall-in-early-2026-following-a-significant-decline-in-2025
  13. BYD profile and market insights | StockCounterparts, https://www.stockcounterparts.com/companies/byd
  14. Is BYD Reaching a “Critical Moment” Amid Higher Sales but Lower Profits? – 36氪, https://eu.36kr.com/en/p/3745225619812867
  15. 2026年3月期 第2四半期決算 – トヨタ自動車, https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2026_2q_presentation_2_jp.pdf
  16. 2026年3 期 第3四半期決算, https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2026_3q_presentation_2_jp.pdf
  17. 2026年3月期 決算説明会 – トヨタ自動車, https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2026_4q_presentation_jp.pdf
  18. トヨタ自動車株式会社FY2026決算:関税が利益を圧迫、販売台数増も相殺 – Investing.com, https://jp.investing.com/news/company-news/article-93CH-1525762
  19. 業績ハイライト・財務指標 | 投資家情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト, https://global.toyota/jp/ir/finance/
  20. Toyota expands lineup of ‘Tesla killer’ EVs in U.S. car market – The Japan Times, https://www.japantimes.co.jp/business/2026/04/03/companies/toyota-ev-us/
  21. What Is the Percentage of Electric Cars in the U.S.? – Edmunds, https://www.edmunds.com/electric-car/articles/percentage-of-electric-cars-in-us.html
  22. Global Battery Electric Vehicle Outlook – Bloomberg Professional Services, https://assets.bbhub.io/professional/sites/41/Global-Battery-Electric-Vehicle-Outlook.pdf
  23. The road ahead for BYD: Can China’s EV giant stay in the fast lane? – Saxo Bank, https://www.home.saxo/content/articles/equities/the-road-ahead-for-byd-can-chinas-ev-giant-stay-in-the-fast-lane-14022025
  24. 2026年 3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) – トヨタ自動車, https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2026_4q_summary_jp.pdf
  25. BYD Sales by Model and Country Statistics (Jul 2026) – Tridens, https://tridenstechnology.com/byd-sales-statistics/
さっつーのよい知らせ:最新話

【さっつーのよい知らせ】第18話・働くパパ(アナログイラスト・漫画×癒し)

「パパも大変だったみたいだよ…」SNSに書かれた父の本音は…

【あらすじ】

ママが病院に運ばれたという連絡をパパから受けたサメじろう。しかし、これまでのパパの不甲斐なさと友人への意地悪に怒りが爆発し、病院でパパをぶっとばしてしまいます。「パパもママも嫌いだ」と怒り泣きするサメじろうに、弟のサメざぶろうが「実はパパのティックトックリ(SNS)のアカウントを見つけて、時々投稿を見ていたんだ」とある告白を。一同が驚きつつもその投稿を覗いてみると、そこには誰も知らなかったパパの本音が書かれていて……。

家族、親子関係、仕事、すれ違い、そして理解。誰もが直面する葛藤を、優しいタッチのアナログイラストで描き出します。ほのぼのした癒しのリズムの中に温かな感動が広がる第18話を、ぜひご覧ください。


イラスト・原作:ソラガスキ

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