サムスンの発表→世界的なメモリ不足の背景と2027年に向けてさらに深刻化する理由の解説

EXECUTIVE
8/19 (水) 10:00-
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【防衛費拡大局面で問われる技術獲得戦略】

ウクライナ「AI戦争OS」の実像と日本企業の防衛テックM&A戦略
〜自律航法・電子戦・迎撃ドローンから読み解く出資・買収・提携候補20社〜

【単なる戦況分析ではなく、現代戦の本質と事業機会を捉える】

現代戦の中核は「機体」から「AI戦争OS」へと完全移行しました。パランティアの作戦管制AI「PRISMA」やアンドゥリル「Lattice AI」の実像を読み解くとともに、日本企業が注目すべきウクライナの技術的優良企業をカテゴリー別に整理。出資・買収・JV・技術提携の現実的なロードマップを提示します。

■ 主要プログラムと実務ポイント:
  • 第1部:ドローン戦争の主役は「AI戦争OS」である(AI、衛星画像、C2、エッジコンピューティングの統合)
  • 第2部:作戦管制AI「PRISMA」の数学モデル(敵防空網を避ける数千本の自律飛行ルートを秒単位でシミュレーション)
  • 第3部:GPSを失っても飛ぶ自律航法(Visual Navigation、地形照合、週単位で更新されるソフトウェア定義型兵器)
  • 第4部:混成スウォームと防空コスト革命(デコイドローンによる飽和攻撃、1,000ドル台のAI誘導迎撃ドローン)
  • 第5部:ウクライナ防衛テック企業・買収候補(固定翼ISR、自律航法、電子戦、UGVなど優秀な20社と提携スキームの使い分け)

【対象】重工、電機、通信、半導体、クラウド、サイバー、ドローン、ロボティクス関連の経営企画・新規事業・技術者、VC・CVC・金融機関・商社の方


講師:今泉 大輔(株式会社インフラコモンズ 代表 / AI×経営ストラテジスト)

主催:SSK 新社会システム総合研究所

スマホ・PCを買う時や企業のサーバー調達で「メモリ高騰・不足」を実感する今日この頃

近年、スマートフォンやパソコンの新機種を購入しようとした際、あるいは会社のIT部門で企業用サーバーや社内PCを調達しようとした際に、製品価格の急騰や納期の遅延に驚かれた経験を持つ方は少なくないはずです1。従来、半導体関連の製品は技術革新とともに「年々大容量になり、価格は下がる」という傾向が一般的でした。しかし、現在のIT市場ではその常識が大きく崩れており、部品であるメモリの深刻な供給不足と価格高騰が進行しています2

IT業界では、このかつてない規模の供給危機を「RAMageddon(ラマゲドン)」と呼ぶ声さえ上がっています2。メモリは、日常的に使うスマートフォンから世界中のデータを処理するデータセンターに至るまで、あらゆるIT機器の動作を支える「主食」のような基本部品です。今、世界中で一体何が起きているのか、そしてなぜこの問題がビジネスパーソンにとって無視できない影響を及ぼしているのか、その背景と構造的な理由をわかりやすく解説していきます。

ニュースの要点:サムスンが警告する「2027年メモリ深刻不足」のショック

世界最大級の半導体メモリメーカーである韓国のサムスン電子(Samsung Electronics)は、2026年第2四半期の決算発表において、世界的なメモリ不足が2027年にかけて一段と悪化し、その混乱が2028年以降も継続する見通しであることを表明しました1

サムスン電子の半導体事業(DS部門)は、人工知能(AI)向けメモリ需要の爆発的な増加を受けて記録的な好業績を収めました5。2026年第2四半期における同社の連結営業利益は89.5兆ウォンに達し、半導体部門単体でその大半を稼ぎ出しています5。しかしその一方で、同社のスマートフォンや家電を担当するモバイル部門(DX部門)は、メモリをはじめとする部品調達コストの激増を吸収しきれず、赤字に転落するという極端な業績の乖離が生じました5

サムスンのメモリ事業幹部であるキム・ジェジュン上級副社長はアナリスト向けの決算説明会において、顧客からの供給要求に対して現在の生産能力が大幅に不足している実態を明らかにしました4。同社に寄せられている2027年分の受注状況を分析した段階で、2027年の「需給ギャップ(需要に対して供給能力が足りない割合)」は2026年よりもさらに拡大することが確定的であると示されています1

主要指標・項目最新データおよび将来予測値ビジネス・市場への影響
サムスン半導体部門 2026年Q2営業利益89.2兆ウォン(前年同期比約250倍)5AI向け高性能メモリ需要の集中による歴史的高収益5
サムスンモバイル部門 2026年Q2損益8,000億ウォンの赤字5メモリ等の部材コスト(BOM)高騰による収益圧迫5
2027年におけるDRAM世界供給充足率世界の総需要の約60%程度1需要の約4割が満たされず、慢性的な供給不足が継続1
大手メーカーの生産枠囲い込み生産能力の60〜70%を長期契約で固定4一般企業や一般消費者向け製品への供給割り当てが縮小4

メモリ不足の真犯人:なぜ今、世界中でメモリが足りないのか?

世界的なメモリ不足を引き起こしている根本的な原因は、単なる需要の増加だけでなく、半導体の「生産構造における大きな変化」にあります。その主な真犯人は、以下の2つの要因です。

原因1:AIデータセンターの爆発的増加(GPUだけでは動かない)

生成AIや対話型AIサービスの急拡大に伴い、世界中で巨大な「AIデータセンター」の建設ラッシュが続いています2。AIの高度な学習や計算処理には、NVIDIA製に代表される「GPU(画像処理半導体)」が大量に使われますが、GPUだけをいくら並べてもAIは動作しません10

IT機器における半導体の役割を身近な例え話で整理してみます。

  • GPU(プロセッサ): 超高速で計算を行う「天才的な頭脳」または「F1レーシングカー」
  • DRAM(主記憶メモリ): 計算に必要なデータを一時的に置いておく「作業机の広さ」または「高速道路の車線数」
  • NAND(ストレージ): データを消さずに長期保存しておく「巨大な本棚・保管庫」または「ピットガレージ」

どれほど超高速なF1カー(GPU)を用意しても、走るための高速道路(DRAM)が狭ければ、車は渋滞を起こして性能を発揮できません。現在、巨大IT企業(ハイパースケーラー)は、GPUの超高スピードに合わせて膨大なデータを途切れなく送り込むため、大量の高性能DRAMや、データを高速で読み書きするデータセンター用SSD(NANDを利用した記憶装置)を買い漁っています5。その結果、世界中のメモリ供給がAIデータセンターへ最優先で吸い上げられているのです2

原因2:「HBM(高帯域幅メモリ)」への生産ラインシフト(通常メモリの生産能力が圧迫される仕組み)

もう1つの決定的な原因は、半導体メーカーが「HBM(High Bandwidth Memory)」と呼ばれるAI専用の特殊なメモリの生産へシフトしていることです1

一般的な「DRAM」が「広い敷地に建つ平屋の作業小屋」だとすると、「HBM」は「同じ敷地面積の中に高速エレベーター(シリコン貫通ビア)を何本も通して垂直に何層も積み上げた超高層マンション」のような立体構造をしています。HBMは一度に扱えるデータ量が桁違いに多い反面、作るのが極めて難しく、製造コストもかかります3

半導体工場の製造ラインを「自動車工場の組み立てライン」に例えてみましょう。ある工場が、作りやすい「標準的な軽自動車(通常のDRAM)」のラインを削って、作るのに手間と時間がかかる「特注の超高級キャンピングカー(HBM)」のラインへ切り替えたとします。キャンピングカーは1台売れば大きな利益になりますが、作るのに時間と広いスペースを占有するため、工場全体から出荷される「自動車の全体の台数」は大幅に減ってしまいます。

実際に2027年までに、半導体メーカーが加工するウエハ(半導体の円形基板)全体の約30%がHBMの生産に費やされると推計されています3。HBMを作るために大量の基板と製造装置が占有される結果、スマートフォンやPC、一般的な企業用サーバーに使われる標準的なDRAMの生産量が物理的に削り取られ、世界的な品薄に拍車をかけているのです1

なぜ2027年にさらに悪化するのか?(工場の新設・稼働までのタイムラグ)

現在の深刻なメモリ不足に対して、半導体メーカーも手をこまねいているわけではなく、新しい工場の建設や増設を進めています5。それにもかかわらず、サムスンなどの首脳陣が「2027年はさらに状況が悪化する」と予測する理由は、半導体製造における「時間のタイムラグ」と「予約の集中」にあります1

半導体工場(ファブ)の新設は、一般的な建物を建てるのとはわけが違います。空気を極限まで清浄に保つ超精密なクリーンルームを構築し、1台数百億円もする最先端の露光装置を運び込み、ミリ単位以下の精度で製品が作れるように試運転を繰り返す必要があるため、着工から工場がフル稼働するまでに「3〜5年」もの歳月がかかります。

主要メーカーの工場新設計画を見ると、その多くが2028年以降の稼働を目指しています5

  • サムスン電子 平澤第5ライン: 次世代HBM専用の巨大生産拠点として整備されていますが、本格的な稼働開始は2028年以降となる見込みです5
  • サムスン電子 米国テキサス州第2工場: 2026年末までに建設を開始し、製品の出荷開始は2030年を目指しています5
  • SKハイニックスおよびマイクロン: 既存工場の拡張や増産を進めているものの、2027年までの短期的な需要急増には物理的に供給が追いつきません8

このように、需要が爆発するタイミングに対して、新しい工場の供給能力が追いつくまでの「数年間の隙間」が生じてしまうのが2027年なのです1。さらに、巨大IT企業が2027年の生産枠を長期契約で事前に買い占めている(完売状態)ため、一般企業やコンシューマー市場へ回るメモリの割合は2027年に最も低下すると予測されています1

まとめ:ビジネスパーソンが知っておくべき今後の見通しと対策

今回の世界的なメモリ crisis(危機)は、一時的な流行や過渡的な乱高下ではなく、社会全体がAI時代へシフトする中で起きた長期的かつ構造的な変化です。最後に、この状況が私たちの身の回りやビジネスにどう波及するのか、そしてどのような対策をとるべきかをまとめます。

身の回りのIT機器への波及効果として、スマートフォンやPCの「スペックが変わらないのに値上がりする」という現象が一般化しています1。エントリーモデルのスマートフォンでは、製品の原価に占めるメモリの割合が30%〜40%に達しており、メーカーは値上げするか製品スペックを削るかの選択を迫られています1。また、ゲーム機やエッジデバイスでも部品高騰による発売延期や価格改定が起きています7

影響を受ける分野生じている主な現象今後の見通しと影響
スマートフォン・PC部品原価(BOM)に占めるメモリ比率の上昇1新機種の値上がり、買い替え周期の長期化1
企業用サーバー・ITインフラメモリ単価の高騰と納期の大幅な遅延設備投資予算の増加、クラウド利用料への価格転嫁
新製品開発・ガジェット部品調達が困難となり開発・出荷が遅延7小型機器やゲーミングPCなどの発売延期・値上げ7

ビジネスパーソンやIT担当者が取り組むべき実用的対策としては、以下の3点が挙げられます。

  1. IT機器の更新計画の早期化と長期化: PCやサーバーの更新、ネットワーク機器の調達は、従来の単年度計画ではなく2〜3年先を見越した早期発注を行う必要があります。
  2. クラウド利用効率の最適化: 各社クラウドサービスプロバイダもインフラコスト上昇分を利用料に転嫁する可能性が高いため、無駄なサーバーインスタンスの削減やデータの整理を推進することが求められます。
  3. IT予算におけるコスト上昇の織り込み: ハードウェア関連の調達単価が今後数年間は下がりづらいことを前提とし、社内のIT設備投資予算やシステム運用費の計画を再計算しておくことが推奨されます。

2027〜2028年頃まで続くと見られるメモリ不足の波を理解し、見通しを持った計画を立てることで、企業におけるIT投資のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

出典:CNET Japan「メモリ不足、2027年はさらに深刻化へ–サムスンが見通し」 URL:https://japan.cnet.com/article/35251138/

引用文献

  1. サムスンが警告、メモリ不足は2027年にさらに深刻化, https://www.andsmart.net/post/samsung-memory-shortage-worse-2027
  2. [B!] メモリ不足、2027年はさらに深刻化へ–サムスンが見通し – はてなブックマーク, https://b.hatena.ne.jp/entry/s/japan.cnet.com/article/35251138/
  3. DRAM供給不足が継続、三大メモリメーカーが2027年のHBM契約価格を倍増へ, https://finance.biggo.jp/news/yZ5NjJ4BtCxy99G5a4Ti
  4. Samsung: memory shortage to worsen in 2027, persist through 2028; locks top customers into multi-year deals – digitimes, https://www.digitimes.com/news/a20260730VL219/samsung-2027-2028-dram-demand.html
  5. Samsung says memory shortage will worsen in 2027 as Q2 chip profit hits record – MLQ.ai, https://mlq.ai/news/samsung-says-memory-shortage-will-worsen-in-2027-as-q2-chip-profit-hits-record/
  6. Samsung sees chip supply shortages worsening due to AI boom; shares surge 8%, https://www.thestar.com.my/business/business-news/2026/07/30/samsung-sees-chip-supply-shortages-worsening-due-to-ai-boom-shares-surge-8
  7. サムスン警告「メモリ不足さらに悪化」。2027年は需給ギャップ拡大へ – Gadget Gate, https://gadget.phileweb.com/post-123769/
  8. 世界的なRAM不足は2027年まで続く?スマホやPCが安くなるのは当分先かも – ライフハッカー, https://www.lifehacker.jp/article/2605-why-ram-prices-are-likely-staying-high-for-years/
  9. Samsungが「2027年にメモリの供給不足がさらに深刻化する」と予測 – GIGAZINE, https://gigazine.net/news/20260501-samsung-expect-memory-crisis-worse-2027/
  10. Samsung and SK hynix warn AI-driven memory shortages could last until 2027 and beyond, as HBM demand explodes — customers already reserving supply years ahead, while the wider DRAM market begins to tighten | Tom’s Hardware, https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/samsung-and-sk-hynix-warn-ai-driven-memory-shortages-could-last-until-2027-and-beyond-as-hbm-demand-explodes-customers-already-reserving-supply-years-ahead-while-the-wider-dram-market-begins-to-tighten

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