宇樹科技(Unitree Robotics)ヒューマノイドロボット徹底解剖報告書:ハードウェア設計思想・量産技術・BOMコスト構造の深層
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第1章:製品ラインナップとハードウェア諸元推移(H1からG1へ)
世代交代に見る設計思想の転換
足式ロボット専業メーカーである宇樹科技(Unitree Robotics)は、2023年発表のフルサイズ初世代機「H1」から2024年発表の普及機「G1」への移行に伴い、製品コンセプトおよび量産設計思想を根底から転換させた1。
H1は成人男性の体格を模したフルサイズ(全高約1,800 mm、重量約47 kg)の機体であり、最大関節トルク360 N·mを誇る大型自社製モータを軸に、ダイナミックな跳躍や時速3.3 m/sの高速歩行など「極限運動性能の実証」と「学術・研究開発用フラッグシップ」を標榜して設計された1。これに対し、G1は全高1,270〜1,320 mm、重量約35 kgと、人間の10歳前後の児童サイズに意図的にダウンサイジングされている6。この体格縮小の背後には、物理的な衝突エネルギーの抑制、運搬性向上(折りたたみ時高さ690 mmで一般的なスーツケースに収容可能)、そして何より部品点数と材料費の極小化による「実用・普及型実験プラットフォームの市場投入」という明確な用途定義が存在する6。
| 諸元項目 | Unitree H1(初世代フラッグシップ) | Unitree G1(第2世代量産最適化型) | 設計思想の変遷・工学的意図 |
| 全高(身長) | 約1,800 mm | 約1,270 〜 1,320 mm(折畳時 690 mm) | 児童サイズへの縮小、可搬性向上と転倒破損リスク低減1 |
| 機体全備重量 | 約47 kg | 約35 kg(標準バッテリ含む) | 約25%の軽量化による関節負荷低減およびスイング慣性抑制3 |
| 基準販売価格 | 約90,000 USD(約65万元) | 85,000〜99,000 RMB(約13,500〜16,000 USD) | 原価を1/5以下に圧縮する徹底した「降本増効」の追求1 |
| 自由度(DoF) | 19 DoF(初期)〜 27 DoF(H1-2) | 23 DoF(標準)〜 最大43 DoF(EDU高位版) | コア構成を絞りつつ、手先・腰部のモジュール拡張性を確保6 |
| 膝関節最大トルク | 約360 N·m(M107関節モジュール) | 90 N·m(標準)/ 120 N·m(EDU版) | 減速機・モータの小型化、運動エネルギーと発熱の抑制6 |
| アーム可搬重量 | 片腕 約3 kg(静止定格) | 片腕 約2 kg(標準)/ 3 kg(EDU版) | 工業重作業を捨て、軽作業・データ収集に割り切った仕様6 |
| 連続稼働時間 | 約1 〜 2時間 | 約1 〜 2時間(13S 9,000 mAh / 0.42 kWh) | クイックリリース式カートリッジバッテリ構造の採用6 |
| 主な想定用途 | 動力学極限性能実証、先行研究 | 科研教育、文芸商演、身体知データ収集、軽作業 | 先端ラボ専用機から量産普及型フィジカルAI機へ8 |
H1の価格帯が約90,000ドルと大学や国家プロジェクト向けの研究機であったのに対し、G1は初期発表9.9万元、実売8.5万元(約1.35万ドル〜1.6万ドル)という産業用ロボットアーム単体すら下回る戦略価格を打ち出した1。これは、自動車や3C工場の重作業を最初からスコープ外とし、身体知(Embodied AI)の学習データ収集、教育研究、エンターテインメントにターゲットを絞り、ハードウェアをコモディティ化させてエコシステムを制覇するという方針転換の表れである1。
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